パリオリンピック・柔道男子60キロ級の準々決勝、永山竜樹選手対フランシスコ・ガルリゴス選手(スペイン)での判定をめぐり、SNSで議論が起こっている。
「待て」がかかった後も約6秒間にわたって寝技を続行され、失神での一本を取られてしまった永山竜樹選手について、SNSでは審判団の判断に怒りと疑問の声が相次いでいる。
「柔道の精神としてよくないし、ルールとして許容できない」
オリンピック初出場となった永山選手は、27日の2回戦から試合に臨んだ。ブラジル代表のミシェル・アウグスト選手との試合を制すると、準々決勝で23年度の世界王者でスペイン代表のフランシスコ・ガルリゴス選手と対戦した。
永山選手は序盤からガルリゴス選手の寝技に苦しむ展開となった。粘りを見せ反撃の機会をうかがっていた永山選手だが、再び寝技に持ち込まれると、審判は「待て」をかけた。
しかし、ガルリゴス選手は寝技を続行し、永山選手は絞め落とされてしまった。審判は「片手絞め」での一本を宣言した。
永山選手はこの判定に不服の意を示し、試合後の握手を拒否し畳を降りず抗議した。鈴木桂治監督をはじめとする日本選手団側も抗議したものの、判定は覆らなかった。
会場からは「『待て』だろ、『待て』!」など、怒りの野次も飛んだ。
全日本柔道連盟の金野潤強化委員長は今回の判定について、国際柔道連盟に文書での抗議を行ったことが報じられている。
金野氏によると、永山選手は「待て」の声が掛かった時点で力を抜いたところ、ガルリゴス選手が締め技を続行したことで失神してしまったという。「待て」の後、6秒間締め技を続けたことについて「柔道の精神としてよくないし、ルールとして許容できない」などと不満をあらわにしていた。
「柔道はルール破った人が得するスポーツなの?」
SNSでは、「永山選手」「柔道のルール」「柔道の審判」「反則負け」などがXのトレンドワードに入るなど大きな注目を集めた。不可解な判定に対する怒りの声が目立つ。
「永山選手の試合 日本側は猛抗議すべきでは? 日本は明らかに抗議が下手 英語を話せなくても日本語でも、通訳使っても、公式にきちんと抗議しないと 待てが掛かってもスペイン選手は締め続けていたのは明らか こんな事が認められたらルールはいらないし、映像チェックの意味もない」
「『待て』がかかったあとまで、技を続けることをゆるしたら柔道の根本のルールが崩れます。絶対に許してはいけません!!」
「どう見てもおかしいのに、そのまま終わってしまったし、審判は一切対応せず知らんぷり。柔道はルール破った人が得するスポーツなの? もはや人種差別を疑いたくなる誤審」
敗退を喫した永山選手だが、意地を見せ敗者復活戦を勝ち上がり、3位決定戦を制して銅メダルを手にした。
SNSでは、「誤審で一度負けてからよく立て直したと思う。胸張って帰ってきてほしい」「ご本人が1番悔しいはず...その中で切り替えて敗者復活戦上がってきたの素晴らしすぎる...!! おめでとうございます」など、祝福の声が寄せられている。
なお、準々決勝で永山に勝ったガルリゴスも選手も3位決定戦を制して銅メダルを獲得。「因縁」の2人が表彰台に立った。