「インティマシー・コーディネーター」は映画制作者を「邪魔する人」ではない 浅田智穂さんに聞く意義と役割

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俳優は当日までどこまで脱ぐのかを知らされていなかった

   ICの職業がなかったころ、俳優は当日まで何をするか、どこまで脱ぐ必要があるのか知らされないことが多かったという。こうした状況は俳優を不安にし、「何を求められているかわからないと、お芝居そのものを考えるまでの余裕がないと思うんです」と浅田さんは言う。ICが入ることで、自分のすることがはっきりし、「自分ができることしかやらなくて良い」という安心感につながる。その意義を

「集中して自分のお芝居を考えられるように余裕が生まれる。不安が取り除かれることが大きいかなと思っています」

と話した。

   さらに、ICは俳優だけでなく、インティマシーシーンのある作品の監督、スタッフ、そして作品そのものにとっても重要な役割を果たす。

   例えば、監督が俳優に「嫌なことは言ってほしい」と伝えていたとしても、それを素直に言える俳優は少ない。ICが入ることで、圧をかけることなく俳優からやりたくないことを聞くことができる。

   スタッフにとっても、監督はヒエラルキーのトップだ。俳優が嫌な思いをしていても、「自分の上司や監督、プロデューサーの機嫌を損ねたら、自分たちは次の仕事がないだろう」と思うと、なかなか監督を止めることができない。ICが入ることで、「目の前で行われているお芝居が、俳優が同意していて不安なくできているお芝居だと思えば、安心して自分たちの仕事を全うできると思います」という。

   さらに、作品を守ることにもつながるという。

「ICが入っている作品は、インティマシーシーンにおいてはきちんと同意を得たことしかしていないはずなので、安心して公開を迎えられるのではないかなと思います」
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