「どうせ自分なんか、あまり期待されていないんで...」
どのメンバーと話しても、ネガティブな空気が漂い、発言も後ろ向きなのです。
このプロジェクトに参加した思いや、新しい店舗づくりへの期待や希望を訊いても、「わかりません」「特にありません」といった応答ばかり...。
Mさんが、特に気になるメンバーの本音を引き出そうと、さらに問いかけると...。
「本当に、希望なんてないんです。どうせ自分なんか前の職場でも評価されず、あまり期待されていないんで...。無理のない程度にやりますから」
「このプロジェクトに、自分から手を挙げたわけじゃないんです。異動と言われたので来ただけで、特に思いなんでありません」
Mさんは後で知ったのですが、メンバーは誰一人、希望して加わったのではありませんでした。
同時期に、関東近郊の人気観光スポットにある、お洒落な大型店舗の立ち上げが重なったことで、やる気と能力のあるメンバーは皆、そちらを希望していったといいます。
ただでさえ、どこの店舗も人手不足のさなか、各エリア責任者は優秀な人材を出し渋り、こちらのプロジェクトには、いわば戦力外と評価される人ばかりを出すことに...。
すなわち、成績不振者や、問題行動を指摘されるメンバーが集まった「落ちこぼれ部隊」だったのです。