ピアノ、水泳、英会話...「習い事教室」が大ピンチ コロナから「V字回復」追い風も吹いているのになぜ...生き残り策は?

生き残るには、優良コンテンツの提供と実績が必要

――倒産が2023年に全国で49件発生していると報告されています。具体的にどんな分野の倒産が目立つのでしょうか。

内田峻平さん 2023年に倒産が多かったのは、スポーツ教室になります。具体的にはスイミングスクールが挙げられます。スイミングスクールを運営していた関東地方のA社は少子化の影響を受け、生徒・会員数が減少していたなか、コロナの影響で休業を余儀なくされ、業績回復の見通しが立ちませんでした。

また、関東地方のB社は、コロナの影響を受けて休業や営業時間の短縮を余儀なくされ、会員数が減少。家賃や人件費、水道光熱費に加え、コロナ対策費が加わったことで負担がさらに重くなり、破綻に追い込まれました。

――東京商工リサーチで先日発表した「学習塾の倒産」リポートでは、インターネット上の無料動画サイトに顧客がとられていると指摘がされていましたが、習い事教室にもそういう強力なライバルはいますか。

内田峻平さん 習い事教室でも、YouTubeや無料の動画サイトなどを顧客が利用するケースがあります。ただ、正しい知識を得るには、きちんと講師と向かい合うことが重要で、学習塾よりも影響は少ないと考えます。

また、スイミングスクールなどのスポーツ教室、音楽教室などは通わなければ学べない装置型モデルで、こうしたモデルの影響は限定的です。

――今後、習い事教室が生き残るにはどうしたらよいか、何が課題だと考えていますか。

内田峻平さん 生き残るには、優良コンテンツの提供と実績が必要です。また、特定の先生、トレーナーに教えてもらいたいというファンの獲得も重要です。

課題として、少子高齢化の波を受けるサービスでは対象人口の減少、そして、「教養娯楽」への支出削減への対応が挙げられます。

物価高で、習い事教室に通う回数を減らす、またはあきらめるケースもありますので、事業者は提供価格に見合ったサービス枠をつくり、価格引き上げの高付加価値サービス、価格引き下げの低付加価値サービス、など視野を広げてお客に寄り添うことも必要と思います。
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