すし職人のなり手不足と、回転ずしの人気に押され
――近年は若い人の間で「ソバーキュリアス」という酒を飲まない風潮さえも広がっています。また、企業の接待が減っている影響も受けているのでしょうか。
担当者 その傾向もあるかもしれませんが、インバウンド需要のもとで注目が集まるナイトタイムエコノミーでは、新たなカルチャーや業態として参入する企業があります。従来のナイトビジネスがそういった新しい業態との競合に晒(さら)されているケースもあるのではないか。
――なるほど。新しいナイトビジネス文化の襲来ですか。しかし、「すし店」は外国人の間では和食がブームで、日本に来たら本場の「SUSHI」(スシ)を味わいたいと大人気です。ラーメンと並ぶ国民食でもあり、突出して減っているのは不思議です。
担当者 すし職人のなり手がいない人手不足の一方で、家族連れの間では機械化されて安い回転ずしの人気も高まっています。そうしたことが影響していると思われます。
また、消費者の嗜好が変化・多様化するなか、すし店はインバウンド需要を取り込むための外国語対応やキャッシュレス対応などが難しい店を中心に、厳しい状況に陥っている可能性もあります。
――今後、バー・キャバレー・ナイトクラブとすし店は、衰退に向かうのでしょうか。また、今回の調査で特に指摘しておきたいことがありますか。
担当者 どちらの業種も、衰退というよりは淘汰が進むと思います。もともと飲食業は利用客の年齢層や時代背景により、流行が短期的なサイクルで変化する傾向にあります。
長年の業歴や伝統を持つすし店、バー・キャバレー・ナイトクラブだとしても、後継者問題に加え、現在の客層を把握して提供するサービスを吟味していかなければ、存続が難しい企業も出てくるでしょう。
また、倒産増加率の点で、すし店とバー・キャバレー・ナイトクラブに注目が集まっていますが、飲食業全体でも倒産件数は過去最多の水準です。業態にかかわらず飲食業者が苦境にあることは注視していくべきです。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)