バー・キャバレー・ナイトクラブといった接待を伴う飲食店や、すし店の倒産が加速していることが、東京商工リサーチが2024年7月11日に発表した「2024年上半期(1~6月)『飲食業の倒産動向』調査」で明らかになった。
飲食業界の集客や売上は、コロナ禍から回復途上にありながら、こうした店だけが特に厳しい状況に陥ったのはなぜか。調査担当者に聞いた。
バーやすし店は、外国人旅行客に人気の店なのに
東京商工リサーチの調査によると、2024年上半期(1~6月)の「飲食業」の倒産(負債1000万円以上)は493件(前年同期比16.2%増)で、上半期としては過去最多となった。現在のペースだと、年間で初めて1000件を超える可能性も出ている。
中でも、業種別では、「バー・キャバレー・ナイトクラブ」(前年同期比161.1%増)と「すし店」(同157.1%増)の増加率が突出して高いことが目立つ。飲食業全体の平均が16%増程度なのに、それぞれ2.5倍以上もの増加ぶりだ【図表】。
コロナ禍の収束で人流や客足が戻り、飲食業全体の集客や売上は回復傾向にある。だが、歴史的な円安による物価高やエネルギー価格の上昇、人件費高騰などが収益を圧迫している。
バー・キャバレー・ナイトクラブ、すし店は、外国人旅行客に人気とあって好調なインバウンド需要の恩恵を受けている。しかし、コロナ禍で傷んだ事業者の中には、財務改善や過剰債務の解消が困難なまま人件費・光熱費などの上昇を受けたところもあり、淘汰が進んでいる。