兵庫県の斎藤元彦知事(46)のパワハラ疑惑を巡り、斎藤氏の声が流れるジュースの自販機が県立高校などに設置されていたとX上で取り上げられ、設置を疑問視する声が出ている。
斎藤氏は、県の広報紙などに自分の顔が載らないと怒ったともされており、今回も売名行為ではないかとの批判が出ている。なぜこのような自販機を設置したのか、県の担当課に話を聞いた。
「気色の悪い自販機」「生徒さん可哀想」などと批判が
「お疲れ様です。兵庫県の斎藤元彦です」。自販機にお金を入れると、こんな斎藤氏の音声メッセージが流れる。
この「おしゃべり自販機」は、2022年10月から神戸市内の県立兵庫高校など県内の5か所で設置された。
兵庫高校では、斎藤氏も公用車で訪れて、自販機のお披露目式が行われた。生徒5人が除幕すると、拍手が起こり、斎藤氏は、生徒と一緒に自販機の上部に大きなステッカーを取り付けた。
県は、朝を大切にする取り組み「HYOGOアサ@プロジェクト」を始め、自販機は、パートナー企業の飲料メーカー「ダイドードリンコ」(大阪市)と共同で設置した。ステッカーでは、このプロジェクト名とともに「兵庫県はそれぞれの、いろいろな『朝』を応援します」と書かれており、その横には、斎藤知事の顔も大きく出ていた。
お金を入れた後に商品を選ぶと、「あすの朝食はご飯にするか、パンにするか...」「朝が楽しいときっとその日一日が楽しいはずなんです」などと斎藤氏の声が流れる仕組みになっている。
斎藤氏のパワハラ疑惑が続く中で、24年7月18日になって、高校での自販機設置を紹介したテレビ映像がX上で取り上げられた。斎藤氏が広報紙などで売名行為もしていたのではないかと指摘される中で、投稿者は、「気色の悪い自販機」「生徒さん可哀想」などと批判した。
県は「行政サイドで判断して導入」、知事の売名行為は否定
この投稿は、X上で拡散して様々な意見が寄せられており、「えらい迷惑な代物」「アイドルや声優を起用した方が喜ばれる」などと批判が多かった。
県のプロジェクトは、地元新聞社など県内18企業とともに進められ、テレビなども自販機設置を報じており、「無批判に報道するテレビ局にもビックリ」との声も出ていた。
プロジェクトを担当する兵庫県のSDGs推進課は7月19日、J-CASTニュースの取材に対し、斎藤氏の音声メッセージを流したことについて、こう答えた。
「音声メッセージが流れるおしゃべり自販機という特徴を活用するため、県の事業をPRするのは代表である知事が行うことが効果的だと当課が判断し、パートナー企業との合意の下で、知事に依頼し収録したものです」
行政サイドで忖度があったのかは分からないが、知事の売名行為があったことを否定した形だ。
「6月末にはステッカーが取り外され、音声も流れなくなっています」
斎藤氏の音声メッセージに効果があったのかについては、「自販機の使用頻度については、当方にて把握しておりませんが、プロジェクトの取組の一つとして、朝食の大切さ等を若い世代に発信する目的は達成出来たのではないかと考えています」とした。このプロジェクトは、24年6月末までがPR期間になっていたといい、取り組みとしてはすでに終了しているという。
斎藤氏音声の自販機について、兵庫高校の教頭は19日、取材に対し、食堂の会社が24年4月から変わったため、現在は設置されていないと説明した。それまで設置されていた自販機について、生徒にどのくらい使われていたかなどについては分からないという。
自販機を設置したダイドードリンコの広報担当者は19日、取材に対し、斎藤氏が起用された経緯について、こう話した。
「当社の自販機については、音声機能が使えるため、『知事の声を入れましょう』と当社から提案しました。プロジェクトリーダーが知事でしたので、PRするのにいいのではないかと考えました。知事から話があったわけではありません。自販機は、すでに入れ替えられた兵庫高校を除き、6月末にはステッカーが取り外され、音声も流れなくなっています。どのくらい使われたのかは分かりかねますが、飲料を購入するたびに音声が流れますので、お客様は聞かれていたのではないかと思います」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)