「入社予定先企業で長く働きたい」学生が意外に多い
――就職前には「まず、どうやって仕事を覚えようか」と考えることが普通と思いますが、学生の働く意識が変わってきているということでしょうか。
中島英里香さん もちろん就職先でのスキルアップやキャリアも考えていると思います。しかし、学生によって満足する金額は違ってきます。
理想とする収入との差分を得るために、就職先で収入を増やすという選択にくわえて、「副業を行う」という選択も学生にあるということだと思われます。
――副業を検討する理由をみると、「新たな知識や経験を得るため」「自分自身の知識や能力を試してみたい」「将来の独立準備」「色々な分野と繋がり、人脈を広げるため」といった項目が高いですね。
これは、就職前から「転職」を意識しているのでしょうか。それとも、キャリアアップを考えている前向きな意識の表れととらえたほうがいいのでしょうか。
個人的には、「新たな知識や経験を得る」とか「自分自身の知識や能力を試したい」という項目は、入社先の仕事をまず覚えて、その仕事を通じて身に着けていけばよいではないか、と考えますが。
中島英里香さん 直接的に「転職」を考えてというよりは「人生100年時代」と言われているように長く働くことを想定していることや、終身雇用制度が成り立たなくなっていることを踏まえ、自律的なキャリア形成が必要であるという観点からの結果だと思われます。
今年5月に2025年卒の学生を対象にした調査で、「入社後のその先のキャリアについて、どのように考えているか」を聞きました。「入社予定先企業で長く働きたい」が57.6%で最も多く、「10年以内に転職したい」(9.7%)も含めて転職を視野に入れている学生は27.0%でした。