元西武・伊東勤氏が最も衝撃を受けた外国人打者 オーラが強すぎて「後光がさしていた」

「どこに投げても打たれる」

「あの日は最初からブライアントのオーラが強すぎて。僕は今までそういうのを感じたことはあまりなかったですが、試合前からブライアントに後光がさしているんですよ。嘘みたいな話ですけど。これは今日はやられるなと」

   第1試合の西武の先発は、伊東氏が「西武の1番いいピッチャー」と評したエースの郭泰源投手。ブライアントは、その郭から第2打席にソロ本塁打、6回には満塁本塁打を放った。

   8回の第4打席では、苦手としていた渡辺久信投手からソロ本塁打を放ち、優勝の行方を大きく左右する天王山で、1試合3本塁打を記録した。

   数々の修羅場をくぐってきた伊東氏は「不思議なくらいに(打席がブライアントに)回ってくる。後にも先にもそんなに怖さを感じたバッターはいなかった」と振り返り、次のようにブライアントの打撃を評した。

「1塁が空いていたら歩かせればいいと思うかもしれないが、そういう気持ちよりも、どこに投げても打たれると。とにかく走者を出さないようにして攻めていった。2本打たれたあとに、渡辺久信が抑えとして入っていた。それまでシーズンで10三振くらいとっていて、打たれたのが1本か2本くらいだった。ほとんどが三振。あの久信でも最後に打たれた。よく『吸い込まれていく』と言うじゃないですか。まさにそんな感じでした。ブライアントのためにあったダブルヘッダーだった」

   ブライアントの活躍で初戦を6-5で制した近鉄。第2戦でもブライアントの1発が飛び出し、近鉄が14-4の大勝を飾った。結局、89年は近鉄がペナントレースを制し、西武は3位に終わった。

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