「宝くじを全部買ったら儲かるか?」の顛末
――それは面白いですね。どんな計画ですか。
篠原拓也さん 1990年代、米バージニア州では、1口1ドルの数字選択式宝くじ(ロト)を販売していました。
購入者が1から44までの数字から6つを選び、すべて当たりの数字と一致していたら1等になります。当せん者がいなければ、1等の当せん金はキャリーオーバーになり、次回に繰り越されます。キャリーオーバーが続くと、莫大な当せん金額となります。
ロトの組み合わせは約700万通り。つまり、約700万ドル(現在のドル円相場で11億2000万円)あれば全部のくじの購入が可能になります。この点に目をつけ、宝くじ購入シンジケートが結成されました。彼らは2500人以上の人々から資金を募り、キャリーオーバーが積み重なる機会を待ちました。
1992年2月、2700万ドル(43億2000万円)のキャリーオーバーが発生した段階で、シンジケートは全部買いに動きました。ところが、購入途中でトラブルが発生、約500万通りしか購入できませんでした。
――結局、どうなったのですか。
篠原拓也さん もし、購入していないくじから1等が出たら大失敗です。また、1等のくじが複数出るリスクもあり、そうなれば1等を当てても当せん金は大きく目減りしてしまいます。
幸運にも、購入した宝くじの中から1等が出て、しかも1等はその1枚だけでした。シンジケートは2等や3等なども合わせて総額3000万ドル(48億円)以上を受け取りました。しかし、現在は数字選択のパターン数が増えており、全部買いは極めて困難になっています。
ラッキーだったとしかいいようがありません。大量買いなどという突拍子もないことを考えずに、ささやかに「宝くじ愛」を発揮して、心のドキドキ、ワクワクを楽しんでほしいと思います。