人間は低い確率ほど「過大評価」する
――なるほど。実際の確率と、人間の肌感覚の確率にズレがあるということですか。
篠原拓也さん プロスペクト理論の例として、よく用いられるのが宝くじです。
宝くじで一等が当たる確率は数千万分の1と、冷静に計算すればゼロに近い数字なのに、「自分なら当たるかもしれない」と、非合理的な購買行動に走ります。つまり、確率が低い場合ほど「過大評価」してしまうのです。
宝くじの場合、頭では「確率は非常に低い」とわかっているのですが、「1%」の確率も「0.00001%」の確率も、肌感覚ではその差を実感できないので違いはありません。だから、「過大評価」して売り場に走ることになります。また、宝くじを売る側のビジネスも巧みですよね。
――どういうことでしょうか。
篠原拓也さん 売り場には、よく「この売り場から3億円出ました!」などと当せん実績が掲げてあります。それを見て、「あっちでも当たっている。こっちでも当たっている。よし、自分も!」という錯覚に陥る効果はとても大きいです。