「どのような懲戒処分もお受けします」 部下の「大失敗」で役員室に謝罪へ...そこで受けた「衝撃の言葉」

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常に部下の心を見据え、必要なケアにあたること

   このエピソードから得られる気づきを、押さえておきましょう。

   まず、失敗やミスはしないに越したことはないものの、どんな仕事にも必ずつきものです。大事なことは、部下に同じ失敗を二度と繰り返させないことです。

   失敗の原因と意味を、しっかりと自覚させること。そして、今後の再発防止に万全を期すことです。

   その上で、上司にとっては、部下の仕事のマネジメントとともに、メンタルケアが大切な役割であることを忘れてはなりません。管理職としては、部下の業績目標達成への注意喚起や失敗に気を尖らせがちです。

   昭和の時代に活躍した日本を代表する社会心理学者・三隅二不二氏は、「PM理論」を打ち立てています。

   これはリーダーシップには「P:Performance(目標達成機能))と「M:Maintenance(集団維持機能)」の2軸が求められ、状況に応じてどちらに重きを置くか意識すべき、というもの。

   私の会社が提供する「上司力(R)研修」でも、「ついつい管理職はPに向きがちであるため、Mを意識しましょう」とよく引用して説明します。

   仕事の成果は大事ですが、管理意識ばかりが先行し部下の立場や心を顧みず、モチベーション低下やメンタル不調を招いたのでは、本末転倒です。

   Sさんは、役員Aさんの絶妙な問いかけによって、上司の心得を教えられました。常に部下の仕事とともに心を見据え、必要なケアにあたること。それも上司に不可欠な役割なのです。

(紹介するエピソードは実際にあったものですが、プライバシー等に配慮し一部変更を加えています。)



【筆者プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお):株式会社FeelWorks代表取締役。青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授。人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業のFeelWorks創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。
近著に、『部下全員が活躍する上司力5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)、『部下を活かすマネジメント「新作法」』(労務行政、2023年9月)、『Z世代の早期離職は上司力で激減できる!』(FeelWorks、2024年4月)など。

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