部下に配慮する余裕がなかった自分を猛省
Sさんは、自分の部署に戻ると、早速OさんとTさんを呼びました。
2人は、緊張した面持ちで、恐る恐るSさんのもとにやってきました。
「担当役員のAさんには、よくご理解を頂けたし、対処方針もご承認頂いたので大丈夫だ。それから...OさんもTさんも、気持ちは折れていないか、大丈夫か?」(Sさん)
「あっ、はい...。ご配慮ありがとうございます。そ、そんな言葉をいただくなんて...」(Oさん)
「申し訳ありません。ありがとうございます...」(Tさん)
Sさんが役員室に向かい、部署に戻るまで沈痛な思いでいた2人。まずは担当役員からの厳しい叱責がなかったことに、早朝から続いた緊張がゆるみ、さらにはSさんからの意外な言葉に涙ぐんでいます。
「いや、僕もすっかり慌ててしまい、2人を気遣う余裕がなくて悪かった。本当にごめんね。人がやる仕事なんだから、ミスが起こることもあり得る。そして、起こってしまったことは変えられないけど、今は事後の対応が大事だ。また、二度と同じミスを繰り返さないようにしよう。ここは気持ちを切り替えて、まずは早急に関係先やお客様への連絡とお詫びを進めよう」(Sさん)
「はい! 承知しました。直ぐに取りかかります!」(Oさん)
Sさんは、2人の少し落ち着いた表情を見て、安堵するとともに、心の内で自分の器の小ささを猛省したのでした。