月曜日、血相を変えた部下がやってきた 大問題が発生「100万人以上会員のメルマガが配信されていません!」

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大叱責を覚悟で、役員室へ...

   Sさんは、若干安堵はしたものの、今回の不祥事で関係先に多大な迷惑が及び、自社収益に甚大な影響が出て、信用問題にもつながることから、自分の監督責任が厳しく問われることを覚悟しました。

   Sさんは、OさんとTさんとの緊急ミーティングで状況を詳しく聴き取り、対処方法についても詰めました。スピードが大事なため、対応に抜けがないか2人にも確認をしながら、担当役員の秘書チームを通じて、至急の面談予約を取りつけました。

   そして、毎週月曜日定例の役員会議を終えたばかりの、担当役員の部屋フロアに向かいました。

   秘書の方に挨拶をしたあと、役員室の前で待機。示された椅子に座る心の余裕もなく、待ち時間1分が1時間のようにも感じられる緊張感で、立ち尽くしていました。

   時間になると、Sさんは青ざめた面持ちで役員室のドアをノックしました。

「おはようございます! お忙しい時間に急な報告で、失礼いたします!」(Sさん)
「ああ、おはよう。...朝から血相を変えて、いったい、どうしたのかね?」(取締役のAさん)
「は、はい! たいへん申し訳ございません! 実は、昨夕配信予定だった会員向けメールマガジンがシステム停止状態となっており、送られていませんでした。昨日は日曜だったこともあり、今朝になって事態が判明しました。状況をお話ししますと...」(Sさん)

   Sさんは、Aさんに対し、問題の状況と原因、社内外への影響の広がりと対処方針について、一通り説明した上で、ひどく落ち込んだ表情で謝罪を述べました。

「誠に申し訳ございませんでした! 担当メンバーのケアレスミスですから、すべて私の管理不行き届きの結果です。責任は私にあります」(Sさん)

   黒革のチェアに深々と腰かけて、役員室の重厚なデスクに対峙しながら報告を聞くあいだ、役員のAさんは一言も語らず、じっとSさんを見つめています。

   簡易な報告書をもとに第一報を話し終えたSさんは、しばらく頭を深々と下げたまま生きた心地もなく、厳しいAさんからの叱責の言葉を待っていました。

   <「どのような懲戒処分もお受けします」 部下の「大失敗」で役員室に謝罪へ...そこで受けた「衝撃の言葉」>の記事に続きます。

(紹介するエピソードは実際にあったものですが、プライバシー等に配慮し一部変更を加えています。)



【筆者プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお):株式会社FeelWorks代表取締役。青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授。人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業のFeelWorks創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。
近著に、『部下全員が活躍する上司力5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)、『部下を活かすマネジメント「新作法」』(労務行政、2023年9月)、『Z世代の早期離職は上司力で激減できる!』(FeelWorks、2024年4月)など。

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