製菓会社のUHA味覚糖(大阪市)が企画・販売を担う「食用コオロギを使用した美味しい未来食の研究プロジェクト」が2024年7月、Xで大きな注目を集めている。ネガティブな反響もある中で、クラウドファンディングでは目標額を超える寄付が集まった。反応への受け止めや今後の展開について、同社に聞いた。
「スナックやおつまみ感覚でお召し上がりいただける絶品コオロギ」
同プロジェクトは、良質な食用コオロギの生産を担うハイジェント(東京都渋谷区)、コオロギ食品の加工・製造を担うMNH(東京都調布市)、UHA味覚糖の3社がタッグを組んだ。
日本の食料自給率が低下している点、そして世界人口の増加などによる食料危機に対するひとつの解決策として「コオロギ食」が注目されている状況があるといった背景から、未来食を研究・提供する企画だ。
具体的には、食用コオロギを使用し、新商品「未来タンパク 三ツ星コオロギ だし醤油味」を開発した。「甘辛く味付けされサクサクした食感でスナックやおつまみ感覚でお召し上がりいただける絶品コオロギ」とうたっている。
さらに6月17日~8月4日にクラウドファンディングサービス「Makuake」で支援を募り、応援購入者に「三ツ星コオロギ」をはじめとする返礼品を送る取り組みも。応援購入総額は、目標が30万円のところ、サポーター143人で48万円超に達している(7月11日時点)。
プロジェクトの概要はXでも拡散され、「ワンチャン美味しかったらアリかもね」「おもしろそうじゃん」「昆虫食は全然ありだと思いますけどねぇ」などと受け入れられた一方、「コオロギなんて食えん」「少し抵抗はありますね」「きついっすね コオロギなんか、誰も期待してない。。」などと拒否感を示す反応も少なからず出ている。
「コオロギ食について、現在のところ今後の商品展開の予定はございません」
想定と比べて、クラウドファンディングの初動や売れ行きの感触はどうか。UHA味覚糖・広報宣伝デパートメントは7月11日、J-CASTニュースの取材に対して、「目標より多くのお客様にご支援にいただいており、感謝申し上げる次第でございます」と答えた。
一方、今回のプロジェクトを受けてXでは「今後商品にコオロギ入るってこと?」と案じる声も出ていた。商品全般にコオロギの導入を進める予定はあるか、コオロギ食についての今後の展開を尋ねたところ、下記のとおり説明した。
「本プロジェクトにおいて当社は企画・販売にのみ携わっております。当社工場にて生産は行っておりません。また、当社商品全般にコオロギを導入するという予定はございません。また、コオロギ食について、現在のところ今後の商品展開の予定はございません」
ネガティブな反響は、「『コオロギ食』については、様々なご意見があることは理解しております」と受け止めている。
「まずは受け入れてくれる人々に食べてもらうことが良い」
なお、発表資料には、プロジェクトへの思いも記されていた。
「抵抗感を持つ人々へのアプローチとして、無理に食べることを勧めず、コオロギの特性やメリットについて丁寧に説明し、まずは受け入れてくれる人々に食べてもらうことが良いと考えます。コオロギ食を広める対象としては、特に理解を深めてくださる人々に焦点を当てています。これらの取り組みを通じて、正しい昆虫食の理解を促進し、社会的な受容を高めるための良いきっかけとなる事を願っています。
また近年、昆虫食に関心を持つ子供たちが増えており、教育を通じて昆虫食の理解を深めることがより重要になってきます。本プロジェクトの『次世代たんぱく質』である食用コオロギをきっかけに、栄養摂取もおいしくあるべきだという食の楽しみを伝え続けるともに、地球環境の変化にともなう未来食との付き合い方をさらに広げていく活動に今後も注力してまいります」
「三ツ星コオロギ」は返礼品のほか、UHA味覚糖広報によると同社の公式通販のみで数量限定販売を予定しているという。