内閣府の賃上げアイデアコンテストで「優勝」、「残業時間から個人事業主に」案は脱法? 社労士が懸念点指摘

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一番の懸念は「契約と実態の乖離」

   元労働基準監督官でアヴァンテ社会保険労務士事務所代表の小菅将樹氏は、このような働き方は法的には問題がないとする一方で、懸念点はあるという。

   この資料では具体的な業種を想定しておらず、業務内容によっては、成功報酬型の業務委託契約の方が柔軟な働き方ができるなど、労働者にとってメリットがある可能性があるとしつつも、「十把一絡げに『個人事業主とする方がお互いWIN-WINじゃないか』とする考え方は取りづらいです」と話す。

   特に、契約は業務委託契約にも関わらず、実態は進捗管理をされたり細かい指揮命令系統が反映されたりといった、「契約と実態の乖離が一番こわい」と懸念する。偽装委託になるかどうかは、日頃のコミュニケーションなど契約形態のみでは読み取れないとしつつも、「労働者(社員)として働いている実態があったにも関わらず、個人事業主の体裁で、個人の保険の下で申請をしていた」ような実態があった場合、例えば労災事故が発生した時には、「労災として処理すべきだという考え方にもなる可能性はあります」という。

   また、業務委託契約では事業主責任が発生せず、個人の責任で仕事をすることになるため、いわゆる「働かせ放題」になる可能性は「大いにあります」と指摘する。

   そのうえで、この働き方の手法について「内閣府が推奨しているから良い」と捉える人がいるかもしれないといい、内閣府は「きちんとリスクマネジメントも周知した方がいいと思う」とした。

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