損害保険ジャパンは2024年7月11日までに、顧客の悪質な嫌がらせや迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」に対する方針を、公式サイトで発表した。同社広報によれば、カスハラ対策を対外的に発表したのは、大手損保会社で初めてとのことだ。
近年、ビジネス上、一般顧客との接点を多数持つ企業で、カスハラを問題視するところは増えており、業界問わず同様の方針を発表している。
「質の高いサービスを持続的に提供していくため」
損害保険ジャパンは7月9日、カスハラに対する方針を発表。カスハラに該当する可能性が高い事例が同社でも確認されていると明かし、策定した理由をこう説明した。
「社員が心身ともに健康で、安心して働くことができる職場環境を整える必要があるという考えのもと、カスタマーハラスメントに該当すると考えられる行為から社員一人ひとりを守り、質の高いサービスを持続的に提供していくため」
同社は、カスハラに判断した行為に対しては「組織で毅然とした対応を行います」。カスハラが継続する場合や、悪質と判断される行為を認めた場合、警察・弁護士などと連携し、厳正に対応するとしている。
同社は、カスハラに該当する例を複数挙げている。威嚇・脅迫・恫喝・強要行為、暴言・暴力・人格を否定する発言・個人を侮辱する発言、継続的・執拗な言動、社会通念上受け入れられない要求などだ。
「カスハラ」対策方針は他にも
JR東日本グループも24年4月、カスタマーハラスメントに対する方針を策定したと発表している。同社は、こう報告している。
「当社グループのサービスをご利用されるお客さまの一部には、暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等のカスタマーハラスメントに該当する迷惑行為が見受けられることがあります」
同社は、「社員の尊厳を傷つけ、安全で働きやすい職場環境の悪化を招くもの」と指摘した上で、カスハラの例を挙げた。
全日空(ANA)と日本航空(JAL)も24年5月、共同で対処方針を定めたと発表。乗客の意見や指摘には「丁寧かつ誠実に対応」するとする一方で、カスハラに該当する行為を「暴言、大声」「脅威を感じさせる言動」の9つのパターンに分類している。