家庭の事情や子どもの個性で選べる、多様なタイプ
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査をまとめた東京商工リサーチ情報部の担当者に話を聞いた。
――2000年以来最大の破綻となった「個別指導塾スタンダード」ですが、リポートによると、経営者幹部のパワハラ報道後に最高売上を記録したと書かかれています。結局、破綻の理由は何だったのですか。
担当者 教室数を増やすことで売上規模を拡大させましたが、その後想定以上に退職者が発生し、正社員が担っていたマネジメント業務を学生講師が行うようになりました。このためクレームが多発し、新規契約が不調に陥りました。
さらに、新型コロナ感染拡大が追い討ちをかけました。新規生徒の獲得が難航したり、夏期講習などの実施が不可能になったりして売上が減少したことが理由です。
――そもそもですが、少子化の進行で市場規模が縮小しているのに、2023年に113社が廃業する一方、新設法人が約5倍の519社もあるのはどういうわけでしょうか。それだけ、学習塾には儲かる理由があるのですか。
担当者 儲かるかどうかは別として、学習塾は講師になるための資格を必要とせず、場所さえあれば開業できますから、設立へのハードルは他業種に比べれば低いと思われます。
大手塾からの独立や、教師を辞めての転職や定年退職など、さまざまな理由で学習塾を始めるケースがあると思います。
――なるほど。リポートには「集団指導塾」「個別指導塾」「オンライン塾」など多様化しているとありますが、それぞれの特徴を教えてください。また、この中で一番伸びているのはどういうタイプでしょうか。
担当者 集団指導塾は、講師1人が大教室で教えるスタイル。個別指導塾は、講師1人に対し、生徒が1人~3人くらいまでの少人数スタイル。オンライン塾は、生徒が教室に行くことなく、ネット上で講義を聞くスタイルです。
それぞれに特徴があり、どれが伸びているとは一概には言えないと思います。保護者や子どもから見れば、選択肢が広がり、それぞれの家庭の事情や子どものタイプによって選べるようになっているメリットがあります。