2024年7月7日に投開票された東京都知事選で2位と躍進した前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)について、その徹底したネット戦略が注目を集めている。
市長時代から武器にしたSNSを駆使し、マスコミの出口調査では、10、20代の若者から圧倒的な支持があった。一体どんな戦略だったのだろうか。
選挙カーに「SNS投稿OK」「撮影・拡散OK」のステッカー
「伸二! 伸二!」。たすきをかけた石丸氏が選挙カーの上に立つと、聴衆からこんなコールと手拍子が起こる。
これは、選挙戦最終日の7月6日夜に、東京駅の丸の内駅前広場で撮られた最後のお願いのシーンだ。この動画は、石丸氏の公式ユーチューブ「石丸伸二のまるチャンネル」で配信された。
この盛り上がりに、石丸氏は、「いやいや、東京駅の前がフェスの会場」と感慨深げに切り出し、メガバンク時代の経歴から語り始めた。
「日の丸を背負った思いで仕事ができました」と米ニューヨーク駐在を振り返り、都知事選に立候補する思いをこう明かした。
「改めて思います。ここに来れて、本当によかった!」
すると、広場を埋めた支援者らから、大きな拍手と歓声が沸き起こった。
石丸氏のチャンネルは、登録者数が約30万人と、知事選3位の蓮舫氏(56)の約1万人、3選を果たした小池百合子氏(71)の約3700人を大きく上回っている。この動画も、注目を集め、8万回以上視聴された。
選挙期間中、石丸氏は、選挙カーに「SNS投稿OK」「撮影・拡散OK」のステッカーを貼るなどして、ネット上への浸透を目指した。チャンネルの切り抜き動画や聴衆が撮った動画がSNS上で拡散すると、それを見て支援者が集まり、報道によると、ボランティアが約5000人にまで達した。
その手法は、安芸高田市長時代から培ったものだ。
当時の石丸氏は、「居眠り議員」をSNS上で糾弾し、議会を敵対勢力に仕立てることでネット上の注目を集めた。そのことを報じるマスコミを会見で批判することで、さらに話題を集め、その名が浸透していった。