2024年7月7日に投開票された東京都知事選で、前参院議員の蓮舫氏は古巣の立憲民主党に加えて、共産党、社民党の支援を受けて選挙戦に臨んだ。だが、得票は現職の小池百合子氏以外に、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏も下回る結果になった。
蓮舫氏は東京・竹橋に設けられた開票センターで開いた記者会見で、敗因について「これからじっくり色々考えさせていただきたいと思うが、私の力不足、そこに尽きると思う」と述べるにとどめたが、共産党との距離感も課題として指摘されている。共産党と接近したことで無党派離れが起きた、という見方だ。
共産党の小池晃書記局長は開票センターに姿を見せ、都知事選で「本当に希望が広がった」などとあいさつ。「戦いはここから」だとして、都議会で共産-立憲の連携を強める考えを示した上で、抱擁を交わして蓮舫氏をねぎらった。
「ひとり街宣」は「まさに日本の新しい民主主義」
小池氏は、7月5日に蒲田駅前で応援演説を行った。投開票日は、開票センターの支援者席の最前列に座り、記者会見の様子を見守った。
蓮舫氏のテレビ中継出演が終わると、支援者があいさつする機会が設けられ、小池氏は
「力不足? とんでもないですよ! 最強、最良の候補者。蓮舫さんを候補者として戦えて幸せだった。本当に希望が広がったと思います、この選挙を通じて」
「やっぱり蓮舫さんの訴えを聞いて『これなら東京で生きていける』と思った人は、いっぱいいるのではないか」
と選挙戦をねぎらった上で、「ひとり街宣」の広がりを
「まさに日本の新しい民主主義が、ここに生まれたと言ってもいいのではないか」
とたたえた。敗因については
「この戦いからどういう教訓を引き出していくかは、今回戦ったみんなとよく議論していきたい。そして、次の戦いにつなげていかなければならない。戦いはここからだ」
とするにとどめた。
都知事選を通じて「連帯して戦っていく、そういう関係も本当に深まった」
ただ、3期目を迎える小池都政には、立憲と連携した上で対峙していきたい考えだ。
「今回の選挙を通じて都議会の仲間も心が通い合った。連帯して戦っていく、そういう関係も本当に深まったと思う。蓮舫さんが掲げたさまざまな公約を、これから都議会で実行していく。そして、蓮舫さんがいなくなった参議院はさびしいけど、でも辻元さん(辻元清美参院議員=立憲代表代行)がいるから、頑張って政治を変える、希望を広げる、そのために頑張りたい」
こう意気込んだ上で、蓮舫氏と抱擁を交わした。
小池氏に先立って、市民運動家の菱山南帆子氏らが登壇。蓮舫氏と抱擁を交わしていた。この経緯もあって、司会を務めていた手塚仁雄衆院議員が「抱擁付きでお願いします」と小池氏を呼び込み、小池氏が「リクエスト」に応えた形だ。
(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)