最低賃金の大幅アップが、高校卒新入社員に恩恵
――今年の初任給調査で、特に目立った点はなんですか。
担当者 初任給を引き上げる従業員の割合を主な学歴別にみると、大学卒と高校卒の間でギャップが広がった点です。【図表2】を見ても、大学卒(一律)は唯一3%台(3.85%増)ですが、高校卒はみな4%~5%台と大学卒より高い水準です。
興味深いのは、規模別にみると、大学卒(一律)は「1000人以上」が24万1082円(5.50%増)、「300~999人」が22万9423円(4.13%増)、「299人以下」が21万8118円(3.13%増)と、企業の規模の大小によって格差が広がっています。
ところが、高校卒は「1000人以上」が19万2686円(5.67%増)、「300~999人」が19万2392円(4.69%増)、「299人以下」が18万3698円(4.03%増)と、それほど格差が広がらず、一様に高い水準になっています。
――どういうことでしょうか。
担当者 つまり、高校卒の初任給が全体的に高くなっているということです。これは、最低賃金の大幅な引き上げが決まったことが影響しています。今年春から高校生の初任給を最低賃金より上にしないと、最低賃金法違反に問われることになります。
高校卒の新入社員にとってはありがたい傾向ですが、引き上げざるを得ない中小企業にとっては、大きな負担になるでしょう。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)