「眠れないと答えているのに誰も助けてくれない」
40代女性のAさんが勤める都内のIT企業でも、エンゲージメントサーベイは毎月行われている。しかし、その結果は公表されていない。
「サーベイの項目には、仕事に満足しているか、人間関係に問題はないか、会社組織に満足しているか、といった内容で、会社がこの数字を上げようとしているんだろうな、ということは感じます。でも集計結果は、全社でも部署ごとでも見たことがないですね」
我が社への入社を友人や知人に紹介できるか、といった項目もあるが、Aさんは10点満点で4点以上をつけたことがない。
「業績が伸びてないし、回復のための戦略もない。将来性のない会社に友人や知人を引き込めないです。たぶん他の社員も同じことを考えているから、集計値もかなりヤバいことになっているでしょうね。会社が公表できないもの無理はないですが、改善のための対策も打っていないのに毎月同じことを尋ねる意味が分かりません」
また、サーベイの項目に「よく眠れているか」「体調不良はないか」といった項目があるにもかかわらず、異常値が出ても誰もケアしていなかったことが判明。サーベイに対する信頼は地に落ちてしまった。
「リモートワークで人知れず鬱になって会社を辞めた先輩がいたんですが、去り際に『サーベイに眠れない、体調が悪いと答え続けていたのに、誰も助けてくれなかった。ショックだった』と言っていてビックリしました。もしかして結果を統計処理だけして、個別の中身は見ていなかったのかって。これじゃダメですよ」