伊藤忠商事がプロジェクトに参画した経緯
伊藤忠商事によれば、「みどりを守る」には多くの資金が必要で、築76年の秩父宮ラグビー場、築約100年の神宮球場などの神宮外苑の施設による収入から賄っている。一方、これらの施設の老朽化は進んでいるため、施設の安全性・防災性の向上、バリアフリー対応などへの更新という観点から、建て替えが喫緊の課題だ。同社の本社ビルも同様とのこと。
同社は、プロジェクトに参画した経緯を、こう説明する。
「築43年を経過し老朽化が始まりつつある東京本社ビルの建替を検討するにあたり、既に計画検討が始まっていた神宮外苑の『みどりを守る』ための施設建替計画において、各社の建設費捻出や事業継続性が課題であったことから、当社も含めた地域一体開発という手法で解決していこう、と声をかけていただいたことに始まります」
この手法は、地域全体で新たに建設可能となる総床面積を、土地所有者の計画ごとに按分し、その権利に応じた資金をコンソーシアムに拠出するというものだ。
同社が単独で建て替えをする場合は法令のさまざまな規制で、同社の現本社ビルよりも低いビルしか建設できないが、一体開発に参画することでより大きなビルを建設することが可能となり、東京本社ビル敷地の資産価値が増加するという。
また、同社がコンソーシアムに拠出する資金も、神宮外苑の施設建替や更新に活用され、収益が生まれ、「将来に亘り神宮外苑の『みどりを守り続ける』ためへと循環していく」とのことだ。
「当プロジェクトは、既存樹木を出来る限り守りながら移植や新植もおこない、緑の量をこれまでよりも増やし、より豊かな自然環境を創っていくという計画です。有名な4列の銀杏並木については計画策定当初から伐採が検討されたことは全くなく、将来に亘り保全されます」