「電気ショックが1分遅れるごとに救命率は7~10%ずつ低下」
こうした事態を受け、日本AED財団は7月2日、「『スポーツ現場の突然死』について」と題した緊急メッセージを公式サイトで出した。
そこでは、「試合中に悲しい出来事 がありました」などと切り出し、次のように指摘した。
「選手は倒れたあと、その場での胸骨圧迫(心臓マッサージ)もAEDの使用もないまま担架で運ばれ、残念ながら病院で死亡が確認されました。17歳という若い、有能な選手がスポーツ現場で突然死をとげたことは痛恨の極みであり、深い哀悼の意を捧げます」
続いて、「スポーツ中の突然の心停止は決してまれではありません」として、「しっかりと準備をして、素早くAEDを用いた救命処置を行うことが出来ればスポーツ中の心臓突然死はゼロを目指すことが出来ます」と指摘した。そして、「人が目の前で倒れたら医者の到着を待つのではなく、一秒でも早く、現場に居合わせたコーチ、選手、審判、観客の誰もがとっさに手を貸すことが求められます。すぐに手分けしてAEDを取り寄 せ、119 番に通報することが重要です」と訴えている。
緊急メッセージでAEDが使われなかったとしたことについて、日本AED財団は3日、「ウェブ上で公開されているXの動画から確認しました」とJ-CASTニュースの取材に答えた。詳細な状況やAEDの設置状況などは分からないとしたうえで、財団として「緊急メッセージを発信した思い」を次のように明かした。
「現時点で現地の詳細な状況まではわかりかねますが、日本AED財団としては、救命は1分1秒を争う処置であることを国民のみなさまに広くご理解いただきたく、公開されている情報から知り得た範囲で、緊急メッセージを送らせていただきました。現時点で当財団が確認できるのは、試合の動画の中で、選手が倒れたあとスタッフが駆けつけているものの、胸骨圧迫の実施もAEDの使用も認められないまま、担架で運ばれるまでの様子のみです。画像を分析すると、倒れて担架で運ばれていくまでが時間にすると2分8秒になりますが、少なくともその間、必要な救命処置が取られなかったことは事実です。AEDなどによる電気ショックが1分遅れるごとに救命率は7~10%ずつ低下いたします。この2分8秒が無処置であれば、それは救命にとって看過できないことであることを、国民のみなさまに広く知っていただきたい。不幸な出来事でしたが、同じようなことが日本の様々なスポーツ場面で起こらないとも限らないことから、少しでも多くのみなさまに『自分事』として捉えていただきたいとの思いから、緊急メッセージをお送りした次第です」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)
6月30日、バドミントン・アジアジュニア大会(インドネシア)で、中国選手が突然コートに倒れ、救命措置がないまま搬送先の病院で死亡が確認されました。これを受け、日本AED財団は緊急メッセージ「スポーツ現場の突然死」についてを公開しましたhttps://t.co/2pG3AAFV8p#aed
— 日本AED財団 減らせ突然死プロジェクト (@aed_project) July 2, 2024