災害の備えに「スマホ用バッテリー」持つ人ほど「防災リテラシー」高い 通話できなくても、命が助かるから

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   災害大国ニッポンでは、いつ、どこで地震や風水害を起こっても不思議ではない。災害時に頼りになるのは情報を得るスマホだが、電源がないと困る。

   そこで、スマホ用バッテリーを持っている人は防災リテラシーも高いことがNTTドコモの研究機関、モバイル社会研究所(東京都千代田区)の調査「災害への備えはお済みですか?―『スマホ用バッテリー』と『数日分の水・食糧』を備えている人は年々増加傾向」(2024年6月19日)でわかった。

   災害時のスマホ対策はどうしたらよいのか。防災専門の調査担当者に聞いた。

  • スマホ用モバイルバッテリーと充電器
    スマホ用モバイルバッテリーと充電器
  • (図表1)災害への備え・準備実施率(モバイル社会研究所調べ)
    (図表1)災害への備え・準備実施率(モバイル社会研究所調べ)
  • (図表2)災害への備え・準備実施率(経年変化)(モバイル社会研究所調べ)
    (図表2)災害への備え・準備実施率(経年変化)(モバイル社会研究所調べ)
  • (図表3)スマホ用モバイルバッテリー所有率:年代別(モバイル社会研究所調べ)
    (図表3)スマホ用モバイルバッテリー所有率:年代別(モバイル社会研究所調べ)
  • (図表4)スマホ用モバイルバッテリー所有率:防災リテラシーの高低別(モバイル社会研究所調べ)
    (図表4)スマホ用モバイルバッテリー所有率:防災リテラシーの高低別(モバイル社会研究所調べ)
  • スマホ用モバイルバッテリーと充電器
  • (図表1)災害への備え・準備実施率(モバイル社会研究所調べ)
  • (図表2)災害への備え・準備実施率(経年変化)(モバイル社会研究所調べ)
  • (図表3)スマホ用モバイルバッテリー所有率:年代別(モバイル社会研究所調べ)
  • (図表4)スマホ用モバイルバッテリー所有率:防災リテラシーの高低別(モバイル社会研究所調べ)

「数日分の水・食糧」より「スマホ用バッテリー」が増加

   モバイル社会研究所の調査(2023年11月)は、全国の15~79歳の男女8991人が対象だ。 まず、災害に備えて何をどの程度準備しているのかを聞いたのが【図表1】だ。「懐中電灯」(51.7%)が最も多く、半数を超えた。

   次いで「数日分の水・食糧」(42.3%)、「スマホ用モバイルバッテリー」(33.5%)、「非常用持ち出し袋」(31.9%)と続く。しかし、「何も準備していない」(33.5%)が3割近くいた。

   2018年から経年で各備えの変化を見たのが【図表2】だ。一番伸びているのが「スマホ用バッテリー」で、次に「数日分の水・食糧」が続く。「何も準備していない」割合は年々減少傾向にある。

   「スマホ用バッテリー」を持っている人を年代別に見ると、10代(40.2%)が最も多く、20~60代は3割台で推移し、70代(28.5%)は3割以下に減少する【図表3】。

   調査の結果、「スマホ用バッテリー」を備えている人ほど防災リテラシーが高いことが、はっきりわかった【図表4】。調べた方法はこうだ。防災リテラシーの高低を、次の8つの質問の回答で得点化した。

   (1)(2)発災時自分で何かできるか(身の回り・身の回り以外)、(3)助け合いへの考え、(4)助け合いへの意欲、(5)他人からの救助意向、(6)他人への注意喚起、(7)命を守る自信、(8)防災教育・震災伝承への取り組みの8の設問を用意。

   それぞれ「そう思う」(4点)、「ややそう思う」(3点)、「あまりそう思わない」(2点)、「思わない」(1点)の4点法で聞いた。そして、「スマホ用バッテリー」の所有率と合わせたのが【図表3】のグラフだ。

   モバイル社会研究所では、こう分析している。

「このことから、災害時に情報収集が重要であり、その収集方法としてスマホが活用されていることが増え、災害時の備えの1つとしてモバイルバッテリーが広がっていると思われます」

   また、防災への備えに、こうした役にたつ情報を多く掲載した「データで見る防災ガイド」をウェブサイトで公開している。

災害時の情報手段だけでなく、心理的安心感となる存在

   J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を行なったモバイル社会研究所の水野一成さん(防災・子ども・シニア調査担当)に話を聞いた。

――この6年間で、スマホ用バッテリーを準備している人の伸び率が一番高いことが驚きです。命に直結する「数日分の水・食糧」や「家具の固定」などこそ一番伸びてほしいと思いますが。

水野一成さん 「数日分の水・食糧」は6年で10ポイント高くなりました。その間に、災害に備えて備蓄するという考え方から、定期的に食べて、食べた分を買い足す「ローリングストック」という考え方が浸透し始めてきたことがありました。これにより無駄なく備えることが出来てきており、上がっている要因の1つではないでしょうか。

また、スマホ用バッテリーの上昇は、災害時の情報収集でスマホを使うことが増えたことにも比例していると思います。被災時に適切な行動をとるために情報を収集すること。また、安否確認の対応などスマホの役割は大きく、被災者の心理的安全性の確保・命の危険の回避にもつながることなどから、スマホ用バッテリーの準備が伸びていることは好ましいことと考えています。

スマホは通話できなくても、メモ帳と懐中電灯になる

――スマホ用バッテリーを持つことが、災害時にはどれだけ役に立つか、具体的には?

水野一成さん まず、災害時に情報を得ること。また、ご家族や知り合いに安否を伝えることはきわめて重要です。そのためにも電源を切らせないことは必須条件となります。

次に、スマホ内の情報の確認です。みなさんはご家族の方など、大切な方の電話番号を覚えていますか? 多くの方はスマホの中の情報だけで、紙で控えていたり、覚えていなかったりするのではないでしょうか。

一例ですが、発災時にスマホの通話ができなくなり、その時に公衆電話や特設の電話が設置された時でも、相手の電話番号が分からないことがあります。そのためにもスマホの電源は重要なのです。

――なるほど。たしかに大震災で通話ができなくなっても、メモ帳としても欠かせない存在ですね。

水野一成さん そのほか、スマホには災害時に役立つ機能がいくつかあります。たとえば、懐中電灯の代わりになったりします。また、冒頭で述べましたが、スマホが使えることによる心理的な安心感が何より得難い力になるはずです。

家族との連絡方法と、災害アプリの活用をチェック!

――「データで見る防災ガイド」には、多くの参考になる情報が掲載されていますが、スマホに関して特に重要で役に立つ使い方が何でしょうか。

水野一成さん 当ガイドは、調査結果を多く取り入れています。防災に関するガイドは数多くありますが、数値を見て「自分はまだできていないな」と、大いに危機意識が高まる方もいるでしょう。そこが当ガイドの狙いであり、オリジナルであるところです。少しでも多くの方にご利用いただき、災害に備えて欲しいです。

特に強調したいのが「DATA2 家族との連絡方法」です。連絡方法も多様になっています。家族みんなが共通して使える方法を確認すること、またその方法が使えない時に次の方法を相談しておくことが肝心です。

「DATA4 スマホで活用するアプリ」には、スマホに入れておくと安心なアプリがいくつか載っています。アプリによっては、プッシュ通知で情報を受け取ることができますが、偽・誤情報に翻弄されないためにも、地元の自治体やNHK、ドコモなど信頼できる情報元の情報を受信できるよう、ぜひ備えておきたいです。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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