2024年1月末に閉館したホテル「熱川温泉ブルーオーシャン」(静岡県東伊豆町)のX公式アカウントが7月1日、営業当時のエピソードを明かし注目を集めている。
宿泊中の男性から、深夜に「妻が息をしていないんですが...」と電話があり、
「つ、つ、妻が... 息をしていないんですが...」
同ホテルは、閉館後も公式Xの更新を続け、たびたび営業当時のエピソードや東伊豆町の魅力などを伝えている。1日に投稿されたのは、同ホテルの営業時、ある日の深夜に起こったエピソードだった。
「深夜の静けさを破る電話の音が鳴り響く 私はすぐに受話器を上げた」。宿泊していた男性客は、震える声で「つ、つ、妻が... 息をしていないんですが...」と告げたという。
突然のできごとに支配人も「驚きと不安が一気に襲ってきました」とするも、冷静を保ち「落ち着いてください。すぐにお部屋に参ります。少々お待ちください」と声をかけた。
支配人が「急いで階段を駆け上がり ドアをノックした」ところ、扉を開けた男性客は顔色を失って立っていた。
「部屋のベッドには 女性が横たわり、動かないまま」いたことから、支配人が状況を尋ねると、男性客は混乱しつつ「夕食後、急に具合が悪くなって...
薬を飲んで休んでいたんですが 気づいたら...。息をしてなかった」と説明。
支配人が女性の脈をとると、「脈拍はありましたが、非常に弱い」状態だったことから救急車を呼んだという。
消防署に連絡した支配人は、「熱川温泉ブルーオーシャンです。お客様の意識がありません。夕食後、薬を飲まれて、就寝したところ 息をしてないと客室から連絡がありました。脈はありますが、呼吸はかなり浅いです。すぐに救急車の手配をお願いします」と状況を伝えた。
支配人は「10分以内に到着します」との回答があったため安心し、倒れてしまった女性の詳しい情報を聞き取り、搬送の準備をしたと振り返った。
「奥様の年齢、血液型を教えてください。お飲みになったお薬をご用意ください。持病とかアレルギーはありませんか? 失礼ですが、妊娠の可能性は?」
救急車の音が近づいてくる中、女性客は目を覚ました。支配人の「お客様、大丈夫ですか?」との問いかけに、女性客は「辛そうな表情に中に 微笑みを浮かべながら」こう答えた。
「ご心配おかけしてすみません。少し体調が悪くなって...。もう大丈夫です」
意識を取り戻した妻の姿を見て、男性客はホッとした表情で妻の手を握り、「本当に良かった...もう心配で心配で」と安堵したという。
支配人は当時の様子を「その目と鼻から彼女の顔めがけて 一筋のしずくが流れ落ちたのを 私は見逃さなかった」と振り返った。
ほどなく女性は落ち着きを取り戻したものの、念のため病院で検査を受けることに。救急車に乗り込んだ2人を見送った支配人は、ホテル入口の鍵を閉めてフロントに戻ると、「『生きててよかった~』と、ナイトスタッフと抱き合った」。「その瞬間目から熱いものがこぼれ落ちた」という。