豪華な海外挙式、家族内輪の挙式と二分化の傾向
それにしても、結婚するカップルの減少という致命的な市場規模の縮小のなか、結婚式場はどうやって利益を回復したのか。J‐CASTニュースBiz編集部は、調査をもとめた東京商工リサーチ情報本部情報部の櫻井浩樹さんに話を聞いた。
――そもそも、少子化で結婚人口も減り続けているうえ、式を挙げないカップルが増えています。そんなマーケットが縮小している状態で、しかもリピーターがいない業界で業績が急回復していることが非常に不思議です。その理由は、ズバリ何でしょうか?
櫻井浩樹さん 2023年は新型コロナが5類に移行し、延期や自粛していた結婚式などのイベントを開催しやすい環境になったこと。また、結婚式場の売上高を牽引する企業の多くが飲食店、ホテルなどの事業多角化を展開しています。
インバウンド消費などの需要を取り込めたことが業績回復に寄与したと考えます。
――そこを詳しく聞きますが、疑問点が3つあります。A:対象の結婚人口は減っているが、結婚式の数そのものは増えているのか。B:1回あたりの結婚式で上げる収益が増えているのか。C:式そのものではなく、結婚関連のほかの事業で稼いでいるのか。
この3点について、いかがでしょうか。
櫻井浩樹さん まず、Aですが、経済産業省の資料(特定サービス産業動態統計調査)では、婚礼の取扱件数は2023年度が7万139件で、コロナ過の2020年度の3万2755件の2倍以上に増えています。これは先送りされていた婚礼がコロナの落ち着きによって、一気に挙式されたと考えます。
次にBですが、平均初婚年齢の上昇により、結婚式にかける費用が増加傾向にあります。ただし、海外で2人だけで挙式したり、家族内輪だけの挙式になったりと、二分化しています。
最後にCですが、1回あたりの結婚式での収益増と、結婚関連のほかの事業で稼いでいることが今回の調査結果に表れたと考えています。