楽天グループの代表取締役会長兼社長・三木谷浩史氏が2024年6月29日にXで、25年10月から禁止されるふるさと納税のポイント付与について、反対する署名活動への協力を呼びかけた。これに賛否両論の声が寄せられている。
反対の声明発表「各地域の自律的努力を無力化するもの」
総務省は25日、ふるさと納税のルールを見直し、利用者に独自のポイントを付与するポータルサイト等を通じての寄付募集を禁止すると発表した。この背景には、ポータルサイト間での、ポイント付与をめぐる競争の過熱がある。松本剛明総務相はこの日の会見で、「寄附を受けた側もポータルサイト事業者に一定のコストはお払いになるかと思う」と指摘。ポイントの原資は自治体が支払っているとみられ、ポータルサイト等に支払う経費を削減し、自治体内での利用を促す目的もあるという。
楽天グループでは、「楽天ふるさと納税」で寄付の仲介を行っている。楽天グループは28日、三木谷氏の名前で
「総務省による今回のポイント付与禁止の告示は、民間原資のポイントまでも禁止し、地方自治体と民間の協力、連携体制を否定するものであり、各地域の自律的努力を無力化するものです。地方の活性化という政府の方針にも大きく矛盾しています」
とする声明を発表。総務省へ撤回を申し入れたいとして、署名への協力を求めた。
ポイント原資を説明「『弊社負担』でお手伝い」
三木谷氏は29日、Xでも署名への協力を呼びかけた。7月1日には、楽天でふるさと納税を申し込んだ際のポイントの原資を尋ねた一般ユーザーに、「ポイントは『弊社負担』でお手伝いさせていただいております」と回答した。さらに、
「特に、田舎の地方自治体はこれで高齢化、人口減に対する投資のため、大切な財源になってきているだけでなく、この仕組みを活かすべく、相当な投資を行っております。全体の地方税に対する比率は軽微です。納税者の小さな楽しみを奪わないで欲しいと心から思っています」
とも説明した。
署名への協力の呼びかけには、「国民の可処分所得増加のためにポイント付与は禁止してほしくない」「色々とあると思いますがポイント付与を禁止することで消費者の消費意欲や経済の活力が削がれるのは明白」といった賛成の声とともに、署名したとの声が寄せられた。楽天会員IDにログインしていればワンクリックで署名できる簡便さを称賛する声もあった。
一方で、三木谷氏の主張に反対する声も寄せられた。
24年8月にも保険料と携帯電話の利用料のポイント還元率が変更に
楽天グループの各サービスを利用することで付与される「楽天ポイント」は、還元率が低くなっていることが指摘されている。
例えば、クレジットカード「楽天カード」利用時の獲得ポイント計算方法は、その月の利用合計額に対して100円につき1ポイントだったが、23年11月請求分からは1回の買い物の利用金額に対して100円につき1ポイントになった。つまり、100円未満の買い物はポイント付与の対象外となった。
楽天グループのさまざまなサービスを利用することで獲得できるポイント倍率がアップする「SPU(スーパーポイントアッププログラム)」も、23年12月から獲得上限ポイントが引き下げられるサービスが増えるなど、内容が変更になった。
また、24年8月からは、楽天カードを使った各種保険料と楽天モバイルを除く携帯電話の利用料の支払いに対するポイントが、100円につき1ポイントから200円につき1ポイントに変更。NHK受信料の支払いは、500円につき1ポイントに変更される。
Xではこうした楽天ポイントの「改悪」を引き合いにし、「楽天ポイント改悪に反対する署名したら、改悪やめてくれるんすか」「一方的に改悪するくせにちょっとムシが良すぎませんかね??」「散々ポイント改悪を繰り返してきた楽天 『どの口が言う』のお手本的ムーブ」といった声が寄せられた。
「ふるさと納税のポイント付与禁止」に反対するネット署名を行っております。是非、宜しくお願いします。https://t.co/3CsuOYQDW3
— 三木谷浩史 Hiroshi (Mickey) Mikitani (@hmikitani) June 28, 2024