「急性カフェイン中毒」にバナナが効く、という情報が2024年6月中旬にXで大きな論争を巻き起こした。その真偽や、カフェインとの付き合い方を医師に取材した。
「科学的に効果があるという充分な証拠(エビデンス)はない」
ある体験談をきっかけにXで話題が広がり、納得するユーザーが出る一方、バナナでは治らないと反論するユーザーも現れるなど情報が錯綜した。
実際、急性カフェイン中毒にバナナは効果があるのか。名古屋大学医学部附属病院・救急科長の山本尚範(やまもと・たかのり)医師は22日、「科学的に効果があるという充分な証拠(エビデンス)はない」とJ-CASTニュースの取材に答えた。
バナナを食べたら症状が治まったように感じられたわけは、下記のように考えられるという。
「あえて言えば、カフェイン中毒により、血中のカリウム値が下がる(低カリウム血症)ことが多く、バナナにはカリウムが含まれていることから、これを補充することはできるかも知れない」
一方で、「低カリウム血症による脱力が、場合によっては改善されるかも知れないが、これはカフェイン中毒の症状の一部に過ぎない」と指摘。カフェイン中毒を疑う症状があった場合は「自力で対処しようとはせず、速やかに病院を受診してほしい」と注意喚起した。
山本医師によると、中毒になると、めまい、嘔気・嘔吐、下痢、不安、震え、興奮、頻脈(脈が速くなる)、発熱などが起こる。「極めて稀ではあるが、5000ミリグラム(5グラム)を超すような過量摂取をした場合は、不整脈や心筋梗塞を起こして、致死的になり得る」とも。