上司の言葉がけひとつで、モチベーションが高まった経験はありませんか?
実際のエピソードや感動的なエピソードを取り上げ、人材育成支援企業FeelWorks代表の前川孝雄さんが「上司力」を発揮するヒントを解説していきます。
今回は、失意の底から立ち直ろうとした若者が、ある「出来事」から働きがいを見出したエピソードです。
とても声をかけにくい、忙しそうな上司
大手企業に就職した大学新卒社員のAさん。配属された部署には、同期入社の仲間や同世代の先輩もおらず、20歳ほど年の離れたプレイングマネジャーの上司が、いつも忙しそうに走り回っていました。
ある時、Aさんは上司から書類作成を指示されますが、具体的な説明もあまりされず、何とか自力で仕上げるしかありませんでした。そこで、出来上がった書類を持参すると...。
「これ、文章がおかしいし、数字が違ってるじゃないか! きちんと見直して再提出して!」
Aさんはどう直せばよいものか、少し助言をもらいたいと思いました。しかし、上司はすぐに席を外してしまい、その後もデスクに戻るとことさら忙しそうにパソコンに向かっていて、取り付く島もありません。
Aさんは仕方なく自分なりに考えて修正し、もう一度提出。ところが、上司からは心無い言葉が返ってきました。
「いやいや、このままじゃ使えないな...。自分でやり直すから、もういいよ」(上司)
Aさんは、すっかり意欲をなくしましたが、自分を元気づけるように内心でつぶやきました。
「(何これ? だったら、もっと、ちゃんとやり方を説明してくれればいいじゃないか! これなら、最初から自分でやればいいんだ。完全に上司ガチャのハズレだ!こちらのほうが、気持ちをしっかり持たなきゃ...)」(Aさん)
...そう自分に言い聞かせたものの、上司に仕事を認めてもらえないことは、つらくも感じたのでした。