「一次面接」って本当に必要? 採用担当者は反論「候補者体験を高めるうえで大事なプロセス」

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人手不足のなか「悪い候補者体験」の拡散は致命的

「最近よく聞かれるのが『採用CX』という言葉ですね。CXとは『候補者体験(Candidate Experience)』の略ですが、企業の採用プロセスに対して、候補者に価値を感じてもらう活動にしようという考え方です」

   Aさんによれば、採用プロセスにおいて「悪い候補者体験」が発生した場合、その人は入社のモチベーションを下げてしまい、企業が採用を出しても辞退しやすくなるという。そして知人友人に口コミやSNSなどを通じて、企業の悪評を広めてしまう。

   「あの会社は感じが悪いから受けない方がいい」というわけだ。これは人手不足が深刻化するなかで、致命的な問題となりうる。

   逆に「候補者体験」がよい場合、候補者の入社モチベーションは高まり、選考中の離脱が減る。仮にその時点では条件の不一致で採用に至らなくても、企業のファンが増えることになるし、別の機会に再び応募してくれるかもしれない。

「その意味で、一次面接というのは非常に大事なんですね。候補者のスキルチェック以前に、まずは会社のビジョンや理念、考え方を丁寧に伝えることが前提となりますし、合否にかかわらず会社の印象をいかに高めるかが重要です。経験則や感覚で応募者を評価し、『なんとなく足りない感じがするから落とした』ではダメなんですよ」

   またAさんの場合、一次面接では「できるだけ合否を一方的に伝えずに済むように心がけている」といい。

「面接中に自社が求める人材の要件や、仕事のイメージを分かりやすく伝えることに力を入れます。そうすると、ますます入社したい人と、自分には合わないことが分かる人が出てくる。会社と候補者の思惑が一致しないことが自然と分かるようにして、候補者側から『またの機会に』と言っていただき、穏やかにお別れするのが理想です」
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