「老後資金2000万円不足」の衝撃が、今「4000万円」に拡大 シニア層の不安に「最新データでは1200万円で大丈夫!」/第一生命経済研究所の永濱利廣さん

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お金を貯めるより健康が一番、どんどん使おう

――私は現在、74歳です。大いに励まされる試算ですが、これからシニアを迎える人たちは、少子高齢化がさらに進んで公的年金をはじめ社会保障給付が減らされるのではないかと心配しています。

永濱利廣さん たしかに、あくまで試算は2023年時点での平均的な2人以上の高齢世帯の収支を元に行ったものであり、今後は社会保障給付を中心とした実質的な収入が減る可能性があります。

今回の試算結果は、家計調査における今のシニアの平均値(貯蓄については中央値)を前提としたものですから、相当幅を持ってみる必要があります。

また、高齢者世帯の貯蓄額は平均2462万円、中央値1604万円ですが、一方で300万円未満の世帯も全体の約15%を占めています。人生100年時代に十分な貯蓄を持っていない人々が存在することは確かです。ぜひ、できるだけ長く働いたり資産運用したりすることで、所得を増やす努力を続けてほしいと願います。

――最後に、シニアとこれからシニアを迎える人々へのエールをお願いします。

永濱利廣さん さきほども述べましたが、老後を生き生きと楽しく乗り切るには、お金より健康が何より大事です。元気に長く働くことが一番です。私は、効果が目に見えて表れるのが面白くて筋トレをずっと続けています。24時間オープンしているジムに通い、ちょっと時間があれば汗を流しています。

運動、趣味、食事...自分の健康法を見つけてください。そして、節約、節約とお金を貯めることより、生きているうちにどんどん使うことを楽しんで、日本経済を元気に回しましょう。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)



【プロフィール】
永濱 利廣(ながはま・としひろ)
第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト
担当:内外経済市場長期予測、経済統計、マクロ経済分析析

1995年早稲田大学理工学部工業経営学科卒。2005年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。
1995年第一生命保険入社。1998年日本経済研究センター出向。2000年第一生命経済研究所経済調査部。2016年4月より現職。
著書に『エコノミストの父が、これだけは子どもたちに教えておきたい大切なお金の話 増補・改訂版』(ワニ・プラス)、『給料が上がらないのは、円安のせいですか?』(PHP研究所)、『日本病 なぜ給料と物価は安いママなのか』(講談社現在新書)、『日本病 なぜ給料と物価は安いままなのか』(講談社現代新書)など多数。

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