「速達性と定時性」か「荷物を運ぶのが楽」か
羽田空港アクセスは、鉄道が便利であることは確かだ。羽田空港の利用者の多くが、京急電鉄を利用する。東京モノレールの利用者も多い。速達性も定時性もある。しかし通勤型車両ゆえに、空港から離れるほどスーツケースは邪魔なものとしてほかの人から見られる。車輪があるとはいえ駅の中を運ぶのはしんどいのも、もちろんだ。
品川や浜松町といった接続駅から各方面へ向かう通勤電車に乗り、新宿や池袋、東京といった駅まで移動し、自宅へ帰る列車に乗る。そのあたりの面倒くささが、「リムジンバス」を選ばせているのかもしれない。
いっぽう成田空港は、以前から「リムジンバス」が便利な空港だった。東京都心部を中心に、各方面からバスが運行されていた。空港アクセス列車が「スカイライナー」しかない時代もあったのだ。
現在では「成田エクスプレス」「スカイライナー」が多くの人に利用され、空港へのバスも盛況だ。ただ、コロナ禍の中で運休したバス路線もあり、それが十分に復活していないところもある。そのあたりは、「成田エクスプレス」が山手線内主要駅に停車していることで補っているといえる。
鉄道は速達性と定時性、バスは荷物を運ぶのが楽というメリットがあり、それぞれ空港アクセスで選ばれているといえるだろう。とくに「大きなスーツケース」を持つ場合、どちらを重視するかはシビアな問題になるのでは。(小林拓矢)
筆者プロフィール
こばやし・たくや/1979年山梨県甲府市生まれ。鉄道などを中心にフリーライターとして執筆活動を行っている。著書『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)、『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。