小学校の健康診断をめぐる問題が相次いで報道されている。
説明のない脱衣や下腹部の診察がなされ、児童が不快感を訴えたことが発端だ。こうした不安や不快を児童が感じることなく、適切な健診を行うためには、何が必要なのだろうか。
学校側と校医側の双方に見解を聞き、2回にわたって学校健診の現状と今後を考える。前半では、現役の小学校教師に、学校側と校医側のそれぞれにどのような対応や配慮が必要かを聞いた。
24年5月末~6月に3件の学校健診の問題が報道
福岡県北九州市八幡西区の小学校で2024年6月5日に行われた健診では、医師に下腹部を触られたとして、児童が不快感を訴えたことが報じられた。医師は腸の音を聞くためにへそ周辺に聴診器を当てたと説明しており、市教育委員会は配慮が不足していた、としているという。
また、群馬県みなかみ町の小学校で4日に行われた健診では、医師が児童の下着の中をのぞき、下半身を視診していたことが報じられた。報道によると、医師は内分泌学を専門とし、成長を見るため必要な診察だった旨を主張。町教育委員会と学校は、文部科学省の指針に沿っていなかった、として保護者説明会で謝罪した。
さらに5月には、神奈川県横浜市内の小学校で、男性医師による上半身裸での診察があり、泣き出す女子児童もいたとするX投稿が波紋を広げた。この投稿は大きな注目を集め、メディアに取り上げられた。31日には、市立小学校339校のうち16校で上半身裸での健診をしていたと、市教育委員会が明らかにしたと報じられた。
もっとも、これらの問題に先立つ24年1月には、文部科学省が全国の教育委員会等へ、学校健診の際には児童のプライバシーや心情に配慮を求める通知を出している。
それにもかかわらず、こうした問題が続出する事態となってしまった。適切な健診を行うには学校と医師はそれぞれ、どのような配慮や対応が必要なのだろうか。