富士通「優秀な新卒に初任給40万円超」が話題に なぜそこまで差をつける必要があるのか?

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「そこそこで働く」では給与が上がらない時代に

   90年代以降のいわゆるIT企業は、大学の文系学部を卒業した人でもOJTで技術を学ばせることができた。しかし、昨今のIT周りの業務は「情報系の基礎をきちんと学んだ経験のない人だと、業務を行うことが難しくなっている」と聞くことが多いという。

「だからいまは、大卒の学歴がなくとも、高専や専門学校の情報系の課程で学んできた人の方が高く評価されることがあるくらいなんですよね」

   またAさんは、一律の初任給の廃止とともに、ジョブ型雇用により多くの人が受ける影響として「評価の二極化」を生むのではないか、と予想する。

「年功的な要素がなくなるわけですから、価値の高い仕事とそうでもない仕事では、支払われる給与が大きく変わっていくことになります。そうすると、『そこそこで働く』人には『そうでもない仕事』しか割り振られないことになるでしょう」

   これまでは負担ばかり重くなるから「管理職になんかなりたくない」と言っていた人たちは、「そこそこで働く」選択をしても年功序列で給与を上げることができた。だから、呑気なことも言えた、というわけだ。

   しかしジョブ型の世界では、スペシャリストとしての専門性を持たず、管理職になることも避けていると、給与がほとんど上がらない事態に陥るかもしれない。

「会社は労働者の家族も含めた生活を丸抱えすべきという、戦前からの『生活給』的考え方が終わり、あくまでも『仕事』や『成果』に対して支払われるようになる。それで足りない人は、自分で『副業』して補ってねと。人手不足やグローバル競争が、いわゆる日本的経営を少しずつ崩していることに気づかないと『こんなはずじゃなかった』ということになりかねないですね」
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