管理部門はなぜテレワークさせてもらえないの? 担当管理職が明かす「ある理由」

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   制度として「テレワーク」は認められているけど、実態としてはなぜか出社を促されている管理部門――。そんな担当者の不満をすくいあげた調査結果が公表された。

   特に「フル出社」が多い職種は、総務の81.4%、経理の73.0%。逆に「フル出社」が少ない職種は、経営企画の43.4%、人事の47.9%で、管理部門の中でも差があるようだ。

  • 管理部門のテレワーク事情は
    管理部門のテレワーク事情は
  • テレワークは週に何日?(職種別)(MS-Japan調べ)
    テレワークは週に何日?(職種別)(MS-Japan調べ)
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  • テレワークは週に何日?(職種別)(MS-Japan調べ)

「制度あり」7割も「実施」は4割どまり

   MS-Japanによるこの調査は、企業の管理業務向けグループウェアを提供するマネジ―が実施し、管理部門に勤める346人から回答を得たもの。

   勤務先でテレワーク制度が導入されていると答えた人は68.2%。特に従業員1,000人以上の企業では82.9%、500~999人の企業でも82.9%で、テレワークが認められている。

   一方で現在、実際に週何日テレワークを行っているか尋ねたところ、実施している人は42.1%にとどまり、「フルリモート」と答えた人はわずか8.6%。週4日の5.8%と合わせても14%程度と少ない。

   いわゆるコロナ明け後にテレワーク制度が「廃止された」と答えた人は8.4%、「出社日数が増えた」人は30.6%。これらテレワークが減少した人の59.3%が「不満」「やや不満」と答えている。

   また、今後転職先を選ぶ際に「テレワークの可否」を考慮するかと尋ねたところ「重視する」「多少考慮にいれる」は63.5%を占めた。特に20・30代の回答者では71.7%を占めており、せっかくの制度が使えないことへのいらだちが伺える。

   この結果について、都内企業で管理部門の中間管理職を務めるAさんは「なかなか悩ましいところなんですよね」とコメントした。

「まず、紙の書類が残っている会社は、テレワークがしにくい。紙のやりとりがあったり、プリンターが必要だったりするので。うちの経理は、コロナ禍の間にほぼすべてペーパーレスにしましたけど。あと、リアルの来客がある場合、なぜか総務が受付をすることになる。まあこれも、アポ無し訪問のお客を全て断ればなんとかなるんですが、それでも誰かが対応しなければならないとなると、やはり総務の仕事になる」

ひとり暮らしの独身男性の「メンタル」に不安

   面倒なのは、郵便や宅配便の受け取りだ。受け取りのサインが必要な場合もあるし、届いたことを現業部署に連絡したりする必要がある。

「このためだけにアルバイトなどを張り付かせるわけにもいかず、結局管理職が常に出社し、兼任という形で雑用をするしかなくなるんですよね」

   ただし、管理部門にテレワークが向かない根本的な理由は、別のところにある。「業務のアウトプットが明確ではなく、遠隔では業務の実態が見えにくいから」だ。

「ひとことで言うと、サボろうと思えばけっこうサボれてしまうんですよね。業務の繁忙の波がどうしても生じてしまい、平準化が難しいので仕方ないんですが。特に厄介なのは、サボること以上に、不正の機会を与えることにつながったり、社員のメンタル管理ができなくなったりすることです」

   不正の機会を与えてしまうと、根っからの悪人でなくても、つい魔が差してしまう。オフィス出社なら根絶できるというわけではないが、やはり他人の目があるとやりにくいだろう。特にお金関係や情報関係は、問題が起きると影響が大きい。

   Aさんの職場では、サボりに加え、仕事とプライベートの切り替えがしにくくなることで、メンタルを病んでしまう人が実際に出てしまったという。特に心配されるのが、ひとり暮らしの独身男性だ。

「担当社員が知らないうちにメンタルを病んでいたときには、業務の再開が大変でした。独身男性は営業にもいますけど、こまめに成果を問われるので、報告・連絡・相談をはじめとするコミュニケーションが発生します。管理部門だと、業務の開始と休憩、終了の報告だけだったりして、緊張感を保つことが難しいのも事実ですね」
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