目の前の生活に、向き合うだけでも精一杯の子どもたち
J-CASTニュースBiz編集部は、研究顧問として同調査を行い、雇用労働問題に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに話を聞いた。
――政府の調査では、公立中学2年生の5.7%がヤングケアラーと言われていますが、しゅふJOB総研の調査では約11%の人が「かつてヤングケアラー」だったと答えています。この結果をどう思いますか。
川上敬太郎さん ヤングケアラーに該当していた時期は人によって異なるのだと思いますが、かつてヤングケアラーだったことがあると回答した人が1割を超えるほど多かったことに驚きました。
また、「周りにいま又はかつてヤングケアラーの人がいる」と答えた人が約18%におよぶ一方で、8割以上の人が身近に感じているわけではありません。ヤングケアラーに関する啓発の必要性を改めて感じました。
――ヤングケアラー経験の有無によって、キャリア形成への影響に対する見方に大きな落差があることが興味深いです【図表3】。「目標や夢をあきらめざるを得ない」といったマイナスの影響に関して、実際に経験した人のほうが低い割合なのは、なぜでしょうか。
私は、個人的に「人間はどんな境遇でも頑張れるものなのだなあ」と勇気づけられましたが。
川上敬太郎さん 経験がある人もない人も、ヤングケアラーに該当する人たちが厳しい環境に置かれているという認識については同じなのだと思います。しかし、経験がない人がイメージするよりも、経験がある人たちの中には、厳しい環境の中でも目標や夢をあきらめず頑張ることができた人がいるということなのかもしれません。
一方で、寄せられたフリーコメントから感じられるのは、目の前の生活に向き合うだけでも精一杯で、目標や夢に向かって頑張ることすら難しい状況に置かれている人がたくさんいるのではないかということです。
ヤングケアラーがいることの認知を広げることが大切ですが、ヤングケアラーに該当する人たちの中でも、置かれている環境には違いがあることにも目を向ける必要があるように思います。