ミセス新曲MV、日本コカ・コーラ「遺憾」 謝罪すべき場で「遺憾」は使うべきではない

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   人気バンド「Mrs. GREEN APPLE」の新曲「コロンブス」のミュージックビデオ(MV)が、公開停止した。この件を受け、同曲をキャンペーンソングとしていた日本コカ・コーラ広報部は2024年6月13日深夜、「今回の事態を遺憾に受け止めております」などとJ-CASTニュースの取材に答えた。

   だが、この「遺憾」という表現に違和感を抱く人がいる。今回の件に関係している日本コカ・コーラが「遺憾」を使っていい立場ではない、バンド側に差別意識があると指摘しているように聞こえる、といった意見だ。一方、同社が「遺憾」を使うことに非はないと擁護する声もあった。では「遺憾」は、どのような場合に使われ、また使ってはいけないのか。

  • 「コロンブス」MVより(現在は削除)
    「コロンブス」MVより(現在は削除)
  • 「コロンブス」MVより(現在は削除)
    「コロンブス」MVより(現在は削除)
  • 大森元貴さんの謝罪文。Mrs. GREEN APPLE 公式サイトより
    大森元貴さんの謝罪文。Mrs. GREEN APPLE 公式サイトより
  • 「コロンブス」MVより(現在は削除)
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  • 大森元貴さんの謝罪文。Mrs. GREEN APPLE 公式サイトより

日本コカ・コーラ「弊社は事前に把握をしておりません」

   Mrs. GREEN APPLEは6月13日、ボーカルの大森元貴さんの名義で、今回のMVの制作経緯を公式サイトで説明した。発表内では「決して差別的な内容にしたい、悲惨な歴史を肯定するものにしたいという意図はありませんでした」と述べている。

   日本コカ・コーラは、J-CASTニュースの取材にこう答えている。

「コカ・コーラ社はいかなる差別も容認しておらず、今回の事態を遺憾に受け止めております。これは、コカ・コーラ社が大切にしている価値とは異なるものです。本楽曲を使用したすべての広告素材の放映を停止させていただきました。また、ミュージックビデオの内容に関しては、弊社は事前に把握をしておりません」

   企業向けのコミュニケーション研修を行うOffice T代表で、ビジネスマナーに詳しい金森たかこ氏に取材した。そもそも、「遺憾」が辞書でどのように説明されているのかを、金森氏は例示した。

   岩波書店が発行する『広辞苑 第七版』では、「思い通りにいかず心残りなこと。残念。気の毒」との説明だ。公的な場で、釈明や不満の意を表すときにも用いられると補足している。

   大修館書店が発行する「明鏡国語辞典 第3版」では、「思いどおりにならなくて、心残りなこと。残念」「事柄が不首尾で、到底容認できるものではないさま。よくない。まずい」という2つの説明だ。後者については、「取り返しのつかない行為について言って、相手側には非難の、自分側には釈明の言い方となる。謝罪ではない」とのことだ。

相手を非難する意味も含まれる

   今回の日本コカ・コーラの「遺憾」について、金森氏はこう説明する。思い通りにならなくて残念という気持ちのほか、自分の立場を釈明したり相手を非難する意味も含まれるため、言葉の意味の受け止め方は人によってさまざまだと感じるだろう――。

「『遺憾』という言葉は、『誠に遺憾です』『遺憾ではございますが~』『遺憾の意を示す』など、決まり文句のように使われがちですが、言葉の意味を正しく理解した上で適切に使わないと真意が伝わらない可能性があります」

   一般的に「遺憾」という表現は公的な場で使われることが多い。思い通りの結果を得られずに、自分側の行為に対して「残念だ」「悔しい」という気持ちを表す場合だ。例えば「遺憾に存じます」と使う。一方、相手側の行為に対して非難を表明するときにも使われる。「遺憾の意を表明する」などだ。

   「遺憾」を使ってはいけないケースもある。こちらの不手際で相手に迷惑をかけた、不快な思いをさせた場合など、謝罪すべき場で、謝罪の言葉のかわりには使わない。「申し訳ないという気持ちを伝えたいときは、はっきりとわかる謝罪の言葉で真意を伝える必要があります」と、金森氏は話している。

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