「キャラクターの紹介の仕方を見る限り、丁寧に描こうとしているとは思えない」
今回の「ジェンダーアイデンティティ」の使い方は、なぜ誤っているといえるのか。
「ジェンダーアイデンティティ(性自認)は、例えば『人種』『年齢』などのように属性を表す言葉なので、キャラクター説明の『院内の看護師長、ジェンダーアイデンティティで、』という表現は、日本語として誤りです。例えばこれを『院内の看護師長、人種で、』または『院内の看護師長、年齢で、』と置き換えると、いかに誤りであるかがわかると思います。
今回の場合、例えば『院内の看護師長、ジェンダーアイデンティティは女性でも男性でもない』または『ジェンダーアイデンティティは男女二元論に当てはまらず』とか、もしキャラクターのアイデンティが定まっているのであれば『院内の看護師長、ノンバイナリー(またはXジェンダー)で』としても良いかと思います」
今回のようなことが起きたことについて、次のように懸念を示した。
「端的に知識不足だと言わざるを得ないと思います。今回の『ジェンダーアイデンティティ』という言葉の誤った使い方を見ても、少し調べたらわかるはずが、それを怠ってしまう点に、製作陣が誠実に向き合い表現しようとしているか疑問を抱きますし、今後ドラマの中でどう描かれるのか不安を感じます。
『ジェンダーアイデンティティが女性でも男性でもない』というキャラクターが描かれること自体は問題ありませんし、むしろ描き方によっては社会に対して気づきを与えたり、ステレオタイプを覆したりなど歓迎すべきものだと思います。しかし、キャラクターの紹介の仕方を見る限り、丁寧に描こうとしているとは思えない状況だと感じます」
ウェブサイトの「ジェンダーアイデンティティ」の表記は2024年6月19日15時半頃確認すると、削除されており「院内の看護師長。その振る舞いや言動にチャーミングさを兼ね備えており、病院に運び込まれてくるDV被害者、トー横キッズなど"ワケあり"患者たちに対しても、物怖じすることのないフランクな性格」と変わっていた。J-CASTニュースがフジテレビ広報宣伝部担当者に「ジェンダーアイデンティティ」の表記を消した理由や、元々の表現を考えたか、波紋が広がっていることをどう受け止めるかについて取材を申し込んだところ、20日、次のように回答した。
「文章表現に誤りがあったため、修正したものです」
(J-CASTニュース編集部 井上果奈)