リーダーはメンバーの夢を変えよ!「アップサイド」引き出すガイアックスの人材育成の流儀とは【インタビュー】

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リーダーはメンバーの夢を変えさせて、なんぼ!

前川 自律分散型は個の解放にも通じ、社内での人材引き抜きも自由となると、夢や想いのある働き手からは理想的な環境かもしれません。
一方で組織としてみると、働く人たちがそれぞれ目指す方向が異なれば、バラバラになる懸念もあるのではないでしょうか。
だから、長い歴史を経て上意下達の組織が一般化してきたともいえますし。この点での課題や対応などについてうかがえますか。

上田さん そうしたリスクは、常にあります。ただ、人を不本意な仕事に縛り付けるのは無理です。
自分の夢を持つ人が、その夢が実現できる仕事にジョインすることが一番。夢にふたをして、会社の仕事だから我慢してやれと言った時点で、すでに経営の負けです。
現場メンバーには、自分の夢にフィットした仕事を選ぶことを推奨します。しかし、その一方で、事業リーダーに対しては「メンバーの夢を変えさせることができて、なんぼだ」とも話しています(笑)。

前川 リーダーには、真逆のことを言っているのですね。でも、メンバーの夢ですら変えさせてしまうというのはリーダーシップの真理ですね。
『ビジョナリーカンパニー』シリーズで有名なジム・コリンズも「真のリーダーシップとは、従わない自由があるにもかかわらず、人々が付いてくることだ」「リーダーシップとは、部下にやらなければならないことをやりたいと思わせる技術である」と主張しています。
私が考える多様な人を育て活かす「上司力」に通ずる、好きなフレーズです。

上田さん 夢が違うのに無理やり働かせるのは、カロリーも使うし、費用対効果も悪い。それなら、夢ごとひっくり返したらいいと。
「君の希望は分かったが、本当にそれでいいのか? この5年、10年先を考えたら、我々が今やるべき仕事はこっちじゃないか」と話す。その結果、若者が「確かにそうだ。自分もライフプラン考え直します。一緒にやります」と言って、自ら働くようにするのが一番だと。
人に自分の夢を持てと言うばかりでなく、事業リーダーなら自分自身の夢を語り、人を巻き込めと言っています。まだ22歳の若者に、自分の一生を決める夢を自力で持てということ自体、無理があるでしょう。

前川 それは私も常々考えていることで、とても共感します。
ここ数十年かけて、学校教育ではキャリア教育が充実し、企業側もジョブ型雇用にシフトしつつあります。部下のキャリア支援に向けて1on1ミーティングも浸透しているものの、上司は部下たちがやりたい仕事だけする組織なんて作れないため、自分の首を絞めることになり、大切な部下の離職に至るという悪循環が起こっています。
だから、リーダーが自分の夢を語ることでメンバーを感化させよという考えは、もっと重視され組織に取り入れられるべきです。
そもそも学生が語る志望動機は、本当は自分のやりたい仕事や向き不向きもわからないにも関わらず、決められた就活の手順に沿ってとりあえず定めたキャリアビジョンであることも多い。
ところが、採用面接で一生懸命説明しているうちに自己暗示にかかり、それしかないと思い込みどんどん視野狭窄に陥っていく。
キャリアの可能性は、本人が考えるよりもっと広いはずです。若者であるほど、本人も気づいていないポテンシャルがあるものですし。実際に魅力的な大人に出会うと、感化されてコロッと夢が変わる場合も多いですからね。

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