スーパーマーケットの牛乳コーナーにずらりと並んだ商品。家族に頼まれて「牛乳」を買いに行き、牛や牧場が描かれたパッケージを手にしたが、実際に購入していたのは「乳飲料」だった――。そんなエピソードが、しばしばSNSに投稿される。これらは一体何が違うのだろうか。森永乳業に聞いた。
「牛乳類」と呼ばれる商品は複数
森永乳業の担当者によれば、「牛乳類」と呼ばれる商品には複数の種類がある。「牛乳(成分無調整牛乳)」や「成分調整牛乳」、「低脂肪牛乳」、「無脂肪牛乳」、「加工乳」、「乳飲料」などだ。商品の容器の側面にある表示欄に、例えば「種類別名称:乳飲料」と書かれている。
この分類は、国の「乳及び乳製品の成分規格等に関する命令(乳等命令)」および「飲用乳の表示に関する公正競争規約」によって定められたものだ。
「牛乳(成分無調整牛乳)」とは、搾ったままの牛乳(成分無調整牛乳)のみが原料。水や他の原材料を混ぜてはいけない。乳脂肪分は3.0%以上、無脂乳固形分は8.0%以上。無脂乳固形分とは、乳脂肪分以外の固形分のことで、たんぱく質や炭水化物、カルシウムなどのミネラルなどが該当する。
一方、「乳飲料」は、生乳、乳製品、牛乳などを主原料に、乳製品以外のものを加えたものだ。ビタミンやミネラルを加えて栄養を強化した商品や、コーヒーや果汁などを加えて嗜好性を高めた商品がある。牛乳から水分を除いた「乳固形分」は3.0%以上。
「牛乳」と「乳飲料」の見分け方
「牛乳」と「乳飲料」を見分けるには、パッケージ側面の「種類別名称」を確認することが最も確実だと、森永乳業の担当者は話す。
屋根型紙パック500ミリリットル以上の種類別名称「牛乳」には、紙パックの開け口近くにくぼみがある。各メーカーの任意表示ではあるが、このくぼみを目印にしても「牛乳」を選ぶことができるという。
これは「切欠き(きりかき)」と呼ばれるものだ。バリアフリー対応の容器として、目の不自由な人が触ったときに、牛乳と他の飲料を区別できる。切欠きのついている反対側が開け口だと分かるようにつけられている、と説明している。