プロ野球中日、阪神などでプレーした楽天の元監督・田尾安志氏(70)が2024年6月18日にユーチューブを更新し、相次ぐ阪神の走塁ミスに苦言を呈した。
阪神は2024年6月18日に甲子園球場で日本ハムと対戦し、延長11回2-1でサヨナラ勝利を収めた。
「さすがの万波でもあの態勢から投げるまでには...」
田尾氏が指摘したのは0-0の同点で迎えた5回の攻撃だ。
この回に3つの走塁ミスがあった。1つ目は無死1、3塁の場面。梅野隆太郎捕手(33)がセーフティースクイズを試みるも、打球が投手の前に転がり3塁走者の前川右京外野手(21)が挟まれてタッチアウトとなった。
このシーンについて田尾氏は「名手・梅野の割にはちょっとピッチャー前にまともにやってしまった。サードランナーの前川が三本間に挟まれて、途中すべったりしましたけれどもアウト。あれはもうちょっと粘って、後ろのランナーをサードまでやってあげればよかったと思う」と振り返った。
2つ目は1死満塁の場面だ。先制のチャンスに原口文仁内野手(32)が放った打球はライトのファウルゾーンへ。これを、強肩を誇る万波中正外野手(24)がフェンスに当たりながら捕球。タッチアップのチャンスに3塁走者の森下翔太外野手(23)はスタートを切らず塁にとどまった。
田尾氏は「ライトの万波がフェンスにぶつかって、やっと取ったというようなファールフライだった」と指摘し、次のように苦言を呈した。
「当然、サードランナーの森下がホームを突くものだと思っていた。それを森下は行かない。これはちょっと残念でした。原口の気持ちになっても『なんで行かないの?』と。(原口も)そういうような表情をしていた。それぐらい言ってもおかしくない。さすがの万波でもあの態勢から投げるまでに時間がかかる。そして、態勢も悪いので、そこからキャッチャーにストライクボールが来る確率はそこまで高くはないだろう。そういうものを考えれば、あそこは思い切っていくべきだったと思います」
「2塁ランナーがひとつのヒットでホームを突くことがほとんどない」
そして、こう続けた。
「もし、あそこで行ってアウトになったら相手の守備をほめざるを得ない。そういう場面だった。それを行かず消極的な走塁で留まってしまった。これはちょっと厳しいなと思いました。この回(得点が)ゼロだったらこの走塁が本当に勢いを止めてしまったというものになるところだった」
3つ目の走塁ミスは直後のプレーだ。
2死満塁のチャンスで、近本光司外野手(29)がセンター前にヒットを放った。3塁走者の森下がホームに生還し1点を先制するも、2塁走者の梅野が3塁でストップ。なおもチャンスが続いたが、中野拓夢内野手(27)が空振り三振に倒れ、この回は1得点にとどまった。
田尾氏は一連の流れに言及し、阪神の消極的な走塁に苦言を呈した。
「近本がタイムリーを打ったからいいようなものの、本当に結果オーライ。あそこで森下がホームに到達していれば、2塁ランナーも3塁に行っていたかもしれない。そうすると、近本のヒットでもう1点追加という場面があったかもしれない。ここ数試合見ていて、タイガースの走塁は積極性に欠けているというところが多すぎる。次の塁を狙う意欲がちょっと見えない」
さらに、次のように指摘した。
「2塁ランナーがひとつのヒットでホームを突くことがほとんどない。これももうちょっと考えないといけない。スタートが悪いのか、ランナーの判断が悪いのか、打球が速すぎるのかは分からいが、ワンヒットでセカンドランナーがホームに行くような形が出てもいいのではないかなという気がしました」
スポーツ紙の報道によると、岡田彰布監督(66)は試合後、5回の再三の走塁ミスに怒りをにじませ、サヨナラ勝利にもぶ然とした表情を見せたという。