2024年6月19日現在、貯金7で首位を快走する広島。その原動力になっているのが、プロ4年目の矢野雅哉だ。
菊池涼介と組む二遊間コンビは球界屈指の守備力
小園海斗を三塁に押しのけるかたちで、遊撃のレギュラーに定着。俊足を生かした守備範囲で球際に強い。師匠と慕う菊池涼介と組む二遊間コンビは球界屈指の守備力だろう。
矢野は昨シーズンまで守備固め、代走など途中出場が多かった。昨年は93試合に出場したが、スタメン出場は34試合。打率.185、0本塁打、3打点と打撃が課題だったが、今シーズンはバットでの活躍も目立つ。
6月13日の西武戦では、4回2死満塁から先制の2点中前適時打。この日は二塁手としてスタメン出場した初回の守備でゴロをファンブルする失策を犯したため、取り返したい思いが強かっただろう。一塁の塁上からベンチにガッツポーズで雄叫びを上げた。
14日の楽天戦では、0-0の延長11回1死三塁から中犠飛。貴重な決勝点をたたき出した。
新井監督の起用法は柔軟
スポーツ紙記者は、矢野を遊撃のレギュラーに抜擢した新井監督の洞察力を評価する。
「小園は決して守備が下手な選手ではない。球界を代表する遊撃になれる素材だが、現時点でフラットに見ると矢野の方が守備力は上です。小園は遊撃という固定観念にとらわれず、矢野をスタメンに起用することでMVP級の活躍を見せている。他球団ではこういう采配はなかなかないですよ」
新井監督の起用法は柔軟だ。
レイノルズ、シャイナーの両外国人が開幕早々に故障で離脱し、堂林翔太も精彩を欠くと、チャンスメーク役の小園を抜擢。長距離砲ではないが「つなぐ4番」で輝き、得点圏打率.362と勝負強さを発揮している。
新井監督のベンチワークがさえわたり、選手のモチベーションも高い。リーグ戦再開後も快進撃が続くか。(中町顕吾)