社員の6割が起業し、20代経営者が続々生まれる ガイアックス、究極の「性善説経営」とは【インタビュー】

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大切なのは人の想いや夢を劣化させないこと

前川  御社では、新卒社員の6割が、在職中または退職後に起業し、20代経営者が続々生まれているとうかがっています。いわゆるアントレプレナーシップ重視の経営によって、組織づくりや人づくりで成果を上げています。
一方、上田さんは、さまざまなインタビューの中で、人材育成について「育てるのではなく、優秀な人の想いを削がない、邪魔をしない仕組み作りが大切」と繰り返されています。
組織や社会を変える可能性がより高い若いメンバーの発想や意見こそ大事にすべきことも語っておられました。人の持つ潜在力や可能性を信じ、組織や仕事への主体的なコミットメントを尊重する、いわば「性善説」ともいえる人間観が垣間見えます。この点についてのお考えをお聞かせいただけますか。

上田さん まず大前提として、一人ひとりが大きな夢を持っていることが大切です。
皆、小さい時は「プロ野球選手になりたい」「大統領になりたい」など、大きな夢を語っていた。でも、大人になるにつれて夢がどんどん劣化して、縮んでしまう。夢の大きさで人を点数付けするなら、歳と共にどんどん減点になるのです。
就活生や新入社員はかろうじて自分の将来の夢やキャリアを語りますが、実際に就職すると激減してしまう。そうさせては駄目だと思うんです。
仕事は、人生そのものです。どんな仕事の知識やスキルを身に付けるかより、自分は人生で何を成したいか、どう生きたいかが第一なはず。人は90%以上、想いや夢で構成されているものだと考えています。
夢を削がないだけでなく、伸ばしたいのですが、そこが難しいところです。そこで、あなたのライフワークは何? もし、今から人生リスタートできるなら何が一番したい? じゃあ、なぜ今すぐそれをしないの? そうした質問を適切に問いかけていく必要があるのではないでしょうか。

前川 人の想いや夢を削がないこと、むしろ引き出すことが第一だということですね。そのため、大人は若者や子どもたちに、職場では経営者や上司といった人たちは社員や部下に、積極的に問いかけをしていくことが大切だと。

上田さん もう一つ大事なのは、環境です。周囲の皆が、自分のやりたいことを語り、「しまくっている」環境の中にいることです。
僕は、小学生の時に毎日4キロ泳いでいました。周りもそうなので、当たり前だった。それが中学になると、誰も泳げなくて驚いた。でも、よくよく思い出すと、小学校に転校生が来ると確かに泳げなかったなと(笑)。「これは難しいな」と思い込んだ時点で、もうできなくなる。

前川 周りが全員できるから違和感がなかったけど、一歩引いて見てみたらすごいことだったと。夢の実現に向けてチャレンジしまくっていて、チャレンジが当たり前と思いこめる環境が大事なわけですね。

上田さん うちの会社に集まるメンバーは、新規事業を創りたいとか、起業したいという人たちです。だから、新しく入った人も、日々そういう人たちと接して話していると、自然とそれが当たり前になる。

前川 新規事業や起業にチャレンジしまくっている環境をつくり、そこにチャレンジしたい人がさらに集えば、自然と啓発し合えるということですね。
それにしても、保守的で起業家が生まれ育ちにくいといわれる日本において、なぜ御社ではそうした環境がつくれるのでしょうか。

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