「最も美しい自治体首長」と呼ばれているという台湾の新竹市東区埔頂里の里長を務める何芝寧(ハー・ジーニン)さんが、東京都内で外国人の男につけ回され、痴漢被害に遭ったと、インスタグラムに動画を投稿して訴えている。
警視庁の警察官も駆け付ける騒ぎになり、台湾の大手メディアも次々に報じている。一体どんな状況だったのだろうか。
尻を2回触られ、男の股間を蹴り上げて反撃
動画は、右手にロング缶を持った黒いTシャツの男が、酔っ払ったような口調で、まとわりついて来る場面で始まる。
「ちょっと、ちょっと、待て!」。男は、日本語でこう呼びかけるが、女性は、左手で追い払うようなジェスチャーをする。
さらに、場面は書店内に移り、帽子をかぶった若い女性の後から、この男がロング缶を持ったまま付いて来た。
また場面が変わって、何度か警告した後にこの男を蹴ったと画面に中国語のコメントが入り、男が痛そうな様子で路上に屈んでいる様子が映し出された。続いて、豊島区内のJR山手線・大塚駅前で、警察官が男に声をかけ、この男が逃げるシーンが流れた。
画面には、コメントが表示され、「心配してくれた皆さん、ありがとう」として、状況が説明された。それによると、男は、日本語と英語を使っていたといい、女性が「ついて来るな!」と言い続けても、付きまとったという。宿泊先のホテルを知られたくないと書店に入ったが、店員は黙って見ているだけだったという。
そして、男は、女性の尻を2回触ったとし、これ対し、女性は男の股間を蹴って反撃したと明かした。警察に助けを求め、警察が男を追い駆けて、事情聴取したとした。この男については、「もう誰かに迷惑をかけないでほしい」と憤っていた。
この動画は、何芝寧さんが2024年6月15日、インスタのストーリー機能を使って投稿した。
入った書店に助けてもらえず、「自分を守ることが大切」
今回の騒ぎについて、何さんは6月17日、インスタを更新して、中国語と日本語で状況の説明を行った。
それによると、騒ぎが日本の一部メディアに取り上げられ、「台日関係」が悪化しかねなくなった。しかし、嫌がらせをしたのは、日本人ではなく外国人だったという。「たとえ日本で嫌がらせを受けても、それで日本を憎むことはありません」として、「この事件に遭遇し、日本の警察が犯人を追跡してくれたことにとても感謝しています」と述べた。
警察は、自分の調書を取るときに通訳も手配してくれたという。調書の最後に「今後も日本に来ますか?」と質問され、迷わずに「来ます!」と答えたとした。そのうえで、こう教訓をつづった。
「今回の事件を通じて、海外では夜遅く一人で出歩かないようにすることを学びました。言語や環境に不慣れなため、助けを求めてもどのように伝えればいいかわからないこともあります」
また、入った書店に助けてもらえなかったとしたためか、こうも書いた。
「台湾の美しい女性たちにお伝えしたいのは、何か問題が起きたときには、まず自分を守ることが大切です。助けの手が差し伸べられるとは限らないので、頼りになるのは常に自分自身です」
それでも、何さんは、「私は日本が大好きです」「最後に #台日友好 を呼びかけたいと思います」としていた。
フジテレビの6月18日付ウェブ版記事によると、付きまとった男は、迷惑防止条例違反の疑いで警視庁に現行犯逮捕された。
被害の状況について、J-CASTニュースでは、駐日大使館に当たる台北駐日経済文化代表処にも18日に取材を申し込んでおり、回答があり次第、追って伝える。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)