銀行員が自分の子に伝える、ハイレベルのマネー教育
――親子での金融リテラシー教育は、何歳からどのような形で進めたらよいでしょうか。よく「子どもがお金に興味を持ったら、いつでも始めよう」と言われますが。
北村さん 子どもの年齢段階ごとにどのような教育が必要なのかを考えるうえで、金融経済教育推進会議が作成した「金融リテラシー・マップ」がとても参考になります。
子どもの年齢段階に応じた目安としてだけでなく、親が自身の知識・判断力を振り返るうえでも押さえておきたい内容が網羅されています。
――りそなグループがグループの銀行員545人に自分の子にどんなマネー教育をしているかを聞いた「アンケート調査」があります。
幼稚園から高校生までが対象ですが、「身近な物の値段(携帯電話・医療費・学費)について共有し、働くようになったら自分で払うことになると伝えた」(中学生)、「1年分の衣服費を渡して自分で管理させた」(同)、「積立NISAの話をしたら、さっそく銀行に話を聞きに行った」(同)、「最近の円安の話をした」(高校生)、「一緒に銀行に行き、本人管理口座を作成した」(同)などと、非常に具体的です。
北村さん 私も読みましたが、お金の専門知識を持つ人々の回答とあって、とても実践的です。小学低学年など早い段階から行うべきという考え方や、小遣い管理の基本に加え、金融トラブルや貯金以外の資産形成など、子どもにもリアルな話をしたり、発展的な取り組みを行ったりする姿勢が参考になります。
なにより相手が子どもだからといってハードルを下げず、ハイレベルな内容であることに感心しました。子ども扱いをしないで、対等の目線で教えている姿勢に、逆に、子どもの親としての顔が感じられて、興味深かったです。子どもだからと一括りにせず、一人ひとりの特性や成長度合いに応じた関心喚起が必要だと思います。
小遣いなどの収支管理は基本ですが、いくら使ったという記録作業自体より、振り返りや次にどう活かすかが大事です。今月はあまり使わなかったから、その分、来月に思いっきり使おうとか、子どもも大人も、お金に関する楽しみや目標があってこその節約・貯蓄・資産形成ではないでしょうか。
当研究所の調査でも、金融リテラシーを高めるとファイナンシャル・ウェルビーイングが高まるという結果が出ていますが、子どもの頃からそうした経験を積むことには意味があると思います。