何とか採用計画人数を確保しようと、企業も必死
これほど早いペースで進んでいる就職活動、焦らずに自分に合った会社を見つけるにはどうしたらよいか。J-CASTニュースBiz編集部は、調査を行なった就職みらい研究所所長の栗田貴祥さんに話を聞いた。
――6月1日時点の内定率が82.4%と驚異的な数字です。これほどスピードアップした理由は、ズバリ何ですか。
栗田貴祥さん 現行の就活スケジュールとなった2017年卒以降の6月1日時点の内定率として最も高い数値となりました。現行のスケジュールでは、6月1日からが企業の選考活動の開始とされていますので、8割を超える内定率の高さはかなり高い状況です。
当研究所では、各卒年で2月から10月まで、毎月内定率を調査していますが、2025年卒の6月までの内定率は、2017年卒以降で最高値となっています。
この内定率の高さは、昨今の人手不足による、企業の採用意欲の高まりから、なんとか採用計画人数を確保しようと早期に選考活動・内々定出しを実施する企業が増えていることが要因として考えられます。
――早まった就職活動に対する就活生のコメントが、興味深いです。就活の早期化に関して2つの意見があります。
「焦りながら就活をしていた」「学業に支障が出る」という批判派。もう一方は、「早く終わらせて、余裕を持ててよかった」「長続きしていたら卒業研究に響く」という歓迎派。それぞれどう思いますか。
栗田貴祥さん 就職活動が早期化していることにより、学業や課外活動が阻害され、充実した学生生活に支障をきたしているということならば、それは憂慮すべきことだと思います。
労働力人口がどんどん減少していくなか、学生一人ひとりが、学業や課外活動など充実した学生生活を通じて、社会に出てから活躍するための力を身につけることは、個人にとって、企業にとって、ひいてはこれからの日本社会全体にとっても大変重要です。
ただし、学生一人ひとりの状況は、大学での講義や部活などの課外活動によりそれぞれ異なっています。キャリアや就職についての考え方や、将来就きたい仕事や働いてみたい企業などの自身の選社軸が定まるタイミングも学生によりさまざまです。
また、学生の価値観も多様化してきていると言われるなか、一律的なスケジュールでしか就職活動を行えないという状況は限界にきていると思います。