企業からのスカウトなら「給与以外の魅力も伝えられる」
それでは、どんな会社の給与が高いのか。Aさんによれば、若年者層の年収相場を引き上げているのは「外資系コンサル」だという。
「アクセンチュアやデロイト、PwCといった外資系コンサル会社が、DXやコンサル人材の優秀層に高い給与を支払っています。一方、日本の伝統的企業の中には入社年次で給与テーブルが細かく決まっているところもいまだにあって、そういう企業は『いくら優秀だからって飛び抜けた給与なんて払えないよ』と平気でいうわけです。そんな会社が、優秀な専門人材など採用できるわけがありません」
一方で、大企業の中にも「外資系コンサル会社の出身者を採用してDXを進めたい」といった課題をもった企業では、いわゆる「ジョブ型」の人事制度に変更し、給与水準を上げ、難易度の高い職務にはさらに高い報酬を支払うことができるようにしている。
それでも、単なる「報酬競争」が加熱してしまうと、コストをかけて採用しても実力を発揮してもらう前に退職されるリスクも高まってしまう。
「シンプルにいうと、人材紹介会社のエージェントに頼むより、ダイレクトリクルーティングの方が、採用コストが低く抑えられるのですね」
ダイレクトリクルーティングを利用するために人材サービス会社に支払うお金は、データベースの利用料に加え、「成功報酬費」が上乗せされる場合もあるが、それでも人材紹介より安く済むことが多いという。
もちろん、自分でデータベースを検索し、その候補者にあった「口説き文句」を準備しなければならないなど、採用担当者の業務は格段に増える。それでも、ダイレクトリクルーティングを利用するメリットはあるという。
「スカウトの送り方によっては、当面の給与以外の魅力も伝えられる余地が多くなります。そうすると、エージェント経由では紹介してもらえなかった人材に、自社でアプローチして採用できる可能性も高まってくるわけで、採用担当者の腕の見せどころです」