「支援者のふり」は方法に疑問が残るものの、違法とまでは言えない
まず、投稿者がとった、支援者のふりをして街頭演説を撮影するという方法についてはどうか。弁護士法人ユア・エースの正木絢生代表弁護士は、今回の行為が肖像権の侵害に当たり不法行為として違法といえるかどうかという観点から解説した。
どういった場合に肖像権の侵害となるかについては、「被撮影者の社会的地位、撮影された被撮影者の活動内容、撮影の場所、撮影の目的、撮影の態様、撮影の必要性等」を総合的に考え、「被撮影者の上記人格的利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超えるものと言えるかどうか」で判断されるという。
支援者のふりをして撮影したことは「撮影の態様や目的」、喜友名県議が選挙活動中だったことは「被撮影者の活動内容や社会的地位」という点で検討されると解説する。その上で、
「特に今回の撮影は、街頭で選挙活動をされているときのものですから、撮影されることに対して受忍すべき範囲がかなり広がっています。選挙活動中の立候補者の言動について、有権者が知る利益は大きいですから、撮影やその写真等の拡散全般についても広範囲で必要性が認められるでしょう」
と指摘。「支援者を装うという撮影方法等の妥当性については問題がありますが」としつつも、「総合的に考えると、今回の喜友名氏への撮影を違法と言うのは困難ではないかと思います」と見解を示した。
喜友名氏の顔がわかる画像・動画の無断投稿行為についても、選挙活動はもともと自身の名前や政治的主張などを広めるための活動であり、それを拡散することは「違法とは言い難い」と指摘。さらにX投稿では加工などで喜友名氏の主張がねじ曲げられているわけではなく、「ありのままの選挙活動が広められているだけなので、違法とは言えない」とした。