トラブル続きのJAL、パイロット・CAに5年半ぶり「滞在先禁酒令」 前回は解除まで5か月

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   日本航空(JAL)で安全をめぐるトラブルが相次ぎ、国交省が2024年5月、行政指導にあたる厳重注意を行った。注意の対象になったトラブルは5件。そのうちの1件が、パイロットが滞在先の米国で飲酒トラブルを起こし、その影響で折り返し便が欠航になった事案だ。

   JALが6月11日に国交省に提出した再発防止策では、運航乗務員(パイロット)や客室乗務員(CA)に対して、滞在先での「禁酒令」が出ていたことが明らかになった。同様の禁酒令は18年11月以来5年半ぶりで、この時は解除まで5か月かかっている。

  • 飲酒トラブルを起こしたパイロットはボーイング777-300ER型機に乗務していた(写真は同型機)
    飲酒トラブルを起こしたパイロットはボーイング777-300ER型機に乗務していた(写真は同型機)
  • 国交省から厳重注意の対象になった事案の概要「シアトル・タコマ国際空港において、管制許可を受けずに滑走路を横断」(JALが記者会見で配布した資料から)
    国交省から厳重注意の対象になった事案の概要「シアトル・タコマ国際空港において、管制許可を受けずに滑走路を横断」(JALが記者会見で配布した資料から)
  • 国交省から厳重注意の対象になった事案の概要「サンディエゴ国際空港において、滑走路手前の停止線をオーバーし、他機が着陸進入を中断」(JALが記者会見で配布した資料から)
    国交省から厳重注意の対象になった事案の概要「サンディエゴ国際空港において、滑走路手前の停止線をオーバーし、他機が着陸進入を中断」(JALが記者会見で配布した資料から)
  • 国交省から厳重注意の対象になった事案の概要「ダラス滞在中における運航乗務員の過度な飲酒に起因した不適切な行動による欠航」(JALが記者会見で配布した資料から)
    国交省から厳重注意の対象になった事案の概要「ダラス滞在中における運航乗務員の過度な飲酒に起因した不適切な行動による欠航」(JALが記者会見で配布した資料から)
  • 国交省から厳重注意の対象になった事案の概要「福岡空港において、滑走路手前の停止線をオーバーし、他機が離陸を中断」(JALが記者会見で配布した資料から)
    国交省から厳重注意の対象になった事案の概要「福岡空港において、滑走路手前の停止線をオーバーし、他機が離陸を中断」(JALが記者会見で配布した資料から)
  • 国交省から厳重注意の対象になった事案の概要「羽田空港駐機場において、自社機の主翼端同士が接触」(JALが記者会見で配布した資料から)
    国交省から厳重注意の対象になった事案の概要「羽田空港駐機場において、自社機の主翼端同士が接触」(JALが記者会見で配布した資料から)
  • 飲酒トラブルを起こしたパイロットはボーイング777-300ER型機に乗務していた(写真は同型機)
  • 国交省から厳重注意の対象になった事案の概要「シアトル・タコマ国際空港において、管制許可を受けずに滑走路を横断」(JALが記者会見で配布した資料から)
  • 国交省から厳重注意の対象になった事案の概要「サンディエゴ国際空港において、滑走路手前の停止線をオーバーし、他機が着陸進入を中断」(JALが記者会見で配布した資料から)
  • 国交省から厳重注意の対象になった事案の概要「ダラス滞在中における運航乗務員の過度な飲酒に起因した不適切な行動による欠航」(JALが記者会見で配布した資料から)
  • 国交省から厳重注意の対象になった事案の概要「福岡空港において、滑走路手前の停止線をオーバーし、他機が離陸を中断」(JALが記者会見で配布した資料から)
  • 国交省から厳重注意の対象になった事案の概要「羽田空港駐機場において、自社機の主翼端同士が接触」(JALが記者会見で配布した資料から)

滞在先のホテルで酔って騒ぎ、警察に通報される

   問題になった事案は、羽田発ダラス・フォートワース空港行きの便を運航したJAL機長が4月22日夕方から翌23日未明(現地時間)にかけて滞在先のホテルで酔って騒ぎ、警察に通報された影響で折り返し便が欠航になった、というもの。宴会は深夜2時まで続いたが、乗務予定の便までは丸1日以上間隔があり、JALのアルコールに関する規定に抵触したわけではなかった。ただ、JALとしては「心身の状態を確認する必要がある」として乗務から外すことを決めた。

   これ以外に厳重注意の対象になった事案は、福岡、米シアトル、サンディエゴで起きた滑走路誤進入や停止線越え計3件、羽田空港で隣り合っていたJAL機同士の翼が接触した事案。 報告書では、これらの事案に共通する要因を2つ挙げている。ひとつは「現場が安全を大前提とし立ち止まれる環境がつくれていない」点。これは「重要なタイミング(滑走路停止線の通過、航空機のプッシュバック開始等)で十分な注意が向けられていない」事実が認められたことによる。

   もうひとつが「リスクマネジメントが十分に機能していない」点で、「過去および至近で類似事例が発生していた」ことが、その理由だとされた。

 

   報告書では事案ごとの対応策も列挙。「緊急対応」「短期対応」「中長期対応」の3つの段階があり、飲酒事案では「緊急対応」のひとつとして

「運航乗務員、客室乗務員の当面の滞在先での禁酒」

がある。禁酒令が出たのは4月26日。事案の発生が発表された日だ。立花宗和常務は記者会見で、

「(アルコールの)検知事例ではない、という前提はあるものの、社会にご迷惑をおかけした要因そのものがアルコールに起因している」

などと説明した。

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